
東京五輪サッカーメキシコ代表コーチ 西村亮太さんインタビュー(後編)〜メキシコ代表チームでの経験とこれから〜
こんにちは!
さて、今回も前編に引き続き、昨年開催された東京オリンピックでサッカーメキシコ代表のコーチを務めた西村亮太さんのインタビューをお送りします。(前編はこちらからお読みいただけます。)
================================
RUN.EDGE:ここからは、2021年に行われたオリンピックのメキシコ代表のお話を伺いたいと思います。まず、メキシコ代表のコーチに就任されたきっかけについて教えていただけますでしょうか。
西村さん:はい。元々指導者学校の同期として知り合い、連絡を取り続けていたハイメ・ロサーノ氏が、2017年にメキシコ1部のチームの監督に就任して、そのチームのコーチングスタッフとして僕を誘ってくれました。そのチームで彼と一緒に働いた後、東京五輪候補チームが監督を探しているという話があったので、ロサーノ監督と一緒に売り込みに行き、就任が決まりました。

メキシコ代表コーチとしての活動と試合の対策
RUN.EDGE:東京五輪チームの中で西村さんはどのようなことを担当されていましたか?
西村さん:練習やトレーニングメニューの設計、チームの分析、相手の分析、ゲームプランを作成など・・・本当に一般的なコーチの業務を全部やっていましたね。
RUN.EDGE: そうなんですね。日本との対戦が決まった後は、どのような準備をされていましたか?
西村さん:選手のリストの分析や、チーム編成の分析、選手個人の分析を行い、その後は監督やチームの分析を行いました。例えば、フランスだったら監督は一緒だったけど、予選と本戦では選手がガラリと変わっていたりする一方で、日本は、同じ監督、そして選手もほとんど変えずに来ていたので、チームと監督のプレースタイルを分析していました。
RUN.EDGE:正直なところ、日本には勝てるかな、という感じはありましたでしょうか?笑
西村さん:元々日本にはオリンピック前から2回対戦したことがあったので、日本のポテンシャルは感じていて、メキシコ代表の監督やスタッフ達と、本当に日本はすごいという話をしていました。前の試合2試合のうち、2回とも引き分けで、そのうち1回はPKで負けてしまっていたので、オリンピックではもう絶対に勝つぞという気持ちで臨みました。
RUN.EDGE:スカウティングや自チーム分析で、メキシコチームならではの観点というのはありましたでしょうか?
西村さん:メキシコ特有のものというか、自分たちの指導スタイルによるものなんですけど、対戦チームに自分たちのプレースタイルを合わせるのではなく、対戦相手の弱みを分析して、そこに対して自分たちの強みのうち何が有効かと考え、自分たちの持つスタイルの中から一番有効なスタイルを使う、ということを意識しています。
RUN.EDGE:なるほど。選手への伝え方で特に意識していることはありますか?
西村さん:イメージのしやすさ、そして選手のモチベーションを意識して伝えるようにしています。例えば、ヨーロッパなどのチームの代表やトップチームの選手がやっているものを見本として見せています。良いプレーを見せて、何が良かったか、どうしたらそれができるのかを考えてもらう方がモチベーションに繋がると思うので。
メキシコチームの強みとは
RUN.EDGE:少し戦術的なお話になりますが、メキシコ代表チームは自陣からのボールを繋いで前進(ビルドアップ)するのが得意だと言われていますが、その理由について教えていただけますでしょうか?
西村さん:まず、メキシコのサッカーの国柄として、自陣からしっかりボールを繋いで攻撃をするということが根付いています。そして、自ずとそういうプレーを志す指導者も多いため、代表チームにもその強みが引き継がれているのだと思います。
RUN.EDGE:なるほど、そうなんですね。他に、西村さんが感じられているメキシコ代表の特徴や強みについて教えていただけますでしょうか。
西村さん:はい。まず、選手が変わってもチームの戦力が変わらないこと、そしてプレースタイルも変わらないことですね。そして、プレースタイルの共通理解が徹底していることも強みだと考えています。
FL-UXの活用方法
RUN.EDGE:ありがとうございます。ここから少しFL-UXに関するお話になりますが、FL-UXを普段のご活動の中でどういうシチュエーションでフラックスを利用されているか教えていただけますでしょうか。
西村さん:はい。もう、練習から試合まで、至るところで活用しています。例えば練習の場合、練習終わったらFL-UXに練習をアップロードして、キーとなるプレー、選手個人のプレーなどをピックアップしてタグ付け*をします。対戦相手のものも、同じように分析しています。もう FL-UXなしでは働けないですね。笑
(*タグ付け:プレー映像から、気になったシーンや選手にフィードバックを行いたいシーンを選んでマークをつけるためのFL-UXの機能。)
RUN.EDGE:そう言っていただけて嬉しいです。タグ付け機能の実用性はどうでしょうか?
西村さん:とても良いと思います。スタジアムでも使っていますが、アプリのレスポンスも良くてすごく快適です。あと、チームや選手も変わっていくなかで、タグ付けをする際のコンセプトをブラッシュアップしていく必要があるので、コンセプトのブラッシュアップに合わせて自在にタグをカスタマイズできる点もとても便利です。

RUN.EDGE:ありがとうございます。ちなみに、これはFL-UXを使ってタグ付けや分析を始めた方がすごく知りたいところだと思うのですが、西村さんはタグ付けはどのようにされていますか?
西村さん:そうですね、タグ付けをし始めた頃は、1試合で300個くらいタグをつけていて、それはさすがに多すぎると指摘されました。笑
なので、それから、自分でつけたタグを分別していったり、タグの内容をブラッシュアップしていって、だんだんとシーンを選別できるようになってきました。そういった経験を通して、指導者としてプレースタイルを明確に持つことがいかに大事かということがわかりました。プレースタイルを明確に持っていれば、タグ付けしたり、シーンを選別することもできてくると思います。
RUN.EDGE:そうなんですね。FL-UXを導入されてからチームに良い影響はありましたか?

西村さん:コミュニケーションが円滑になり、コミュニケーションのスピードが上がりました。まずスタッフの間で、「あーあのプレーね」と、すぐにプレーシーンを認識することができるようになったので、その先にいる選手に伝える情報の精度、そしてコミュニケーションのスピードも上がったと思います。
今後チャレンジしたいことは?
RUN.EDGE:ありがとうございます。最後に、西村さんが今後チャレンジしたいことについて教えてください。
西村さん:はい。まずはメキシコ国内でチャンピオンになって、その次は別の国、新しい環境で優勝したいです。そしてその後、ヨーロッパに行って指導者として勝負したいと思います。
RUN.EDGE:ありがとうございます。西村さんのように海外で活躍することを夢見ている学生や若手の方も非常に多くいらっしゃると思いますので、そのような皆さんに一言いただけますでしょうか。
西村さん:はい。二つあります。一つは、失敗を恐れないこと。失敗を恐れないっていうのは、もうそれこそダメもとでも、自分から積極的に動いていくこと。一つ二つ失敗したり、断られたりするくらいではめげずに、むしろ断られる前提ぐらいの勢いで、どんどん扉を叩いていってほしいです。
もう一つは、「当たり前のことをすごいレベルでやること」を大切にしてほしいと思います。特別新しいことだったり特別なことを探してあっち行ったりこっち行ったりするというより、当然にやらないといけないことを人より凄いレベルでやること。それが僕自身としてもモットーとしているというか、大事にしていることです。

RUN.EDGE:ありがとうございます!私たちも聞いていてすごく勉強になりました。これからも応援しています。本日はお忙しい中本当にありがとうございました。
西村さん:ありがとうございました。
================================
お忙しい中、そして夜遅い時間にもかかわらず一つひとつの質問に対してとても丁寧に答えてくださる姿から西村さんの大変あたたかいお人柄を感じるとともに、お話しいただいた一つひとつのエピソードから、実直に物事に向き合うことこそが、実績を残すことに繋がるのだなということを改めて学んだ気がしました。
「当たり前のことをすごいレベルでやる」姿勢、私たちも見習いたいと思います。
西村さん、本当にありがとうございました!
西村さんも利用されている映像分析ツールFL-UX(フラックス)の詳細情報はこちらのページからご確認いただけます。新規のご登録で、30日間無料でお試しいただけます(自動課金はございません)ので、この機会にぜひチェックしてみてください。
それではまた!