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【鳥の眼で観る欧州CL】【プレス回避の美】ガルティエ・PSGワンポイント戦術分析

こんばんは!
RUN.EDGE株式会社 FL-UXマーケティングチームです。

さて、本日も、とんとんさんによる「鳥の眼で観る欧州CL」シリーズをお送りしたいと思います。今回は、2月15日にバイエルンとの対戦に臨むパリ・サンジェルマンの戦術分析をお送りします。

それでは早速、お楽しみください!

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■チームのスタイル

PSGは5-2-3や4-3-1-2といったシステムを採用している。
いずれのシステムにおいてもポゼッション率の高いPSGは、CBマルキーニョス、SBハキミ、2CHのヴェラッティ、ヴィチーニャを中心にローテーションを交えつつ丁寧にパスを繋いで敵のプレスを回避して攻撃を組み立てる。相手の中盤を前方に誘き出すことでメッシ、ムバッペ、ネイマールの強力な前線にボールだけでなくスペースを提供する。3トップにボールが渡ればメッシとネイマールはキープ力とパスワーク、ムバッペはスピードで一気に相手ゴールに迫っていく。
守備においては基本的にセンターサークル先端付近をプレス開始位置にブロックを作り、2CHと5バックの連携を駆使して守っていく。

■圧倒的なプレス回避力

PSGの持ち味はプレス回避力だ。SBハキミ、CHヴェラッティ、ヴィチーニャは皆狭いスペースでボールを捌く技術に長けたプレイヤーだ。プレス回避において彼らのスキルを存分に生かすのは当然だが、そんな彼ら個人のボールスキルとは別に、CBマルキーニョスを含めたポジショニングにおいても敵のプレスを外す工夫が見られる。

まずは5-2-3のケースから見ていく。5-2-3において特徴的な動きは3つだ。
①2CHが同サイドに寄ってプレー
②逆シャドーが降りてプレー
③CBマルキーニョスがDFラインから抜ける

2CHはボールホルダーをサポートする意識が強く、ボールサイドに寄って複数のパスコースを提供できるように位置をとる。斜め後ろでサポートをすることで、敵の中盤を誘き出せれば、強力3トップへのパスコースも生まれていくため、非常に重要なポイントとなる。
そういった中で空く逆サイドのハーフスペースにシャドーが降りることで、逆サイドを活かした攻撃のリンク役を円滑にこなすことができる。早々にメッシやネイマールにボールを預けることで、スピードある他のメンバーがパスの受け手となるべく走り出して攻撃を加速させていく。
ボールサイドでの攻撃が手詰まりとなった際、DFラインを経由して逆サイドからの打開を試みていくが、この時にCBマルキーニョスがDFラインから抜ける動きを見せる。
WBに対してマルキーニョスが近寄ることで、CHの到着を待たずして斜め後ろのサポートを即座に行うことができるのだ。入れ替わるようにヴェラッティがCBに位置に降りる、もしくは逆サイドで顔を出すことで相手のマークのずれを誘発すると同時に複数のパスコースをボールホルダーに提供できるというローテーションの仕組みが組み込まれている。
WBハキミはスピードとスタミナに優れるだけでなく、的確なパスワークと判断力にも優れている。W杯におけるモロッコ代表でも異次元のプレス回避力を見せつけた。
CHの配置に応じて、CBマルキーニョスは逆ハーフスペースへ抜ける動きも見せる。各選手がキープ力とアジリティに長けているため、低い位置でボールを失わないことを前提とした強気な動きであり、スター集団ならではの強みと言える部分となる。
この抜ける動きは、敵からすれば誰がどこまでついていくか、どこでスイッチするかという迷いが発生するためマークにつきにくく、パスコースの確保とプレス回避ができるのだ。

4-3-1-2においても中盤(アンカー)とCBの入れ替わりは見られる。抜ける動きの多さはさながらフットサルのようだ。
5-2-3におけるCHの斜め後ろのサポートと同じく、このシステムにおいても「段差」をつくることがキーポイントとなる。段差を作ることで縦パスとレイオフを繰り返し行うことでプレスを回避しつつ、敵の中盤を誘き出すことでトップ下のネイマールがギャップに入り込みやすくする。このネイマールにボールを入れることで敵のプレスをひっくり返し、強力3トップによる攻撃が展開されていく。
いずれのシステムにおいても抜ける動きと段差を駆使して丁寧にパスを繋ぎ、3トップにボールだけでなくスペースを与えているという点がPSGの強みとなっており、要注目ポイントだ。ハキミ、メンデスの両ワイドが幅を作り3トップをサポートすることも可能となっている。

■守備戦術

メッシ、ムバッペ擁するPSGは守備がアンバランスになりやすい。ただし彼らのポジショニング自体は悪くない。CBに牽制をかけられる位置をとっているうえに彼らが高い位置をとることでカウンターの脅威を植え付けることもできるため、大崩れすることはそうない。当然後方メンバーの尽力は計り知れない。特に中盤を埋めるヴェラッティはネガティブ・トランジションにおいても鋭い出足で攻撃の芽を摘んでおり、負荷が高くなっている。
5-2-3においては中盤と3トップの成す五角形の中央のスペースが空いてしまう傾向が強く、このエリアから自在にボールが出てきてしまうため、裏を取られないように手前のスペースも守る必要のある5バックの連携がより重要となる。
4-3-1-2においてはトップ下にも守備のタスクをこなしてもらわないと4バックの隙間を縫われて厳しい状態となる。このタスクをこなせるのは3トップの中でもネイマールだけだ。速攻につなげるリンクマンとしても重要な役割を担うこととなる。

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