
【プレー分析】鎌田大地。EL躍進のフランクフルトで増す存在感
こんにちは!
さて、前回の記事では、とんとんさんによるフランクフルトの戦術分析を前編・後編に分けてお送りさせていただきました。
今回は、そのフランクフルトで活躍する鎌田大地選手に着目していきたいと思います。
それでは、とんとんさん、お願いいたします!
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Can you move your feet as fast as Daichi #Kamada? ⚡⚡⚡
— Bundesliga English (@Bundesliga_EN) January 19, 2022
Super footwork from @Sagantos24 to give @Eintracht_eng the lead in the #Bundesliga on MD19. 👏 pic.twitter.com/RrEX4DwZR1
If it isn't all about the Kamada magic ✨ then what is it all about? 🪄
— Bundesliga English (@Bundesliga_EN) August 5, 2021
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How Frankfurt made it to the semi-finals 🦅⚽️@Eintracht | #UEL pic.twitter.com/JULGeUxqA0
— UEFA Europa League (@EuropaLeague) April 25, 2022
ELで躍進をみせるフランクフルトにおいて、レギュラーとして安定した活躍をみせる鎌田大地。今回は攻守において見事に役割を果たし、自身の持ち味も発揮している鎌田のプレーを分析していく。
フランクフルトは5-2-3での高い位置での守備ブロックおよびカウンターを長所にバルセロナやベティスといった強豪と渡り合ってきた。
そのため鎌田大地のプレーを分析するにあたり、まずはフランクフルトで鎌田が起用される「シャドー」の守備的な役割を振り返る。
(※詳細はフランクフルト戦術分析を参照)
フランクフルトの5-2-3守備におけるシャドーの役割は
CFボレとの距離感を一定に保ち、ボレとの間を通すパスを牽制する。
ボールが自分とは反対サイドにあり、かつ自サイドに展開される可能性がある場合、CBへ寄せられる位置で自サイドへの展開を牽制する、もしくはSBへ寄せられる位置でプレスをかける。
ボールが自分とは反対サイドにあり、かつ自サイドへの展開の可能性が薄い場合、味方CHのボールサイド圧縮状況を見て低い位置に降りてカバーに入る。サポートの必要がなければ高めの位置を維持してカウンターに備える。
といったところだ。
鎌田はこの守備的なタスクを一定水準でクリアしているといえる。ボール奪取力は決して高いとは言えないため、味方と囲い込んでもいなされてしまう場面はあるものの、的確なポジショニングは相手ビルドアップを阻害するには十分である。
CHの脇、高い位置に上がったWBコスティッチの空けたスペースを埋める気の利いたカバーリングはチームのバランスを維持する助けになっているといえる。
5-2-3での高い位置でのブロック守備からの速攻がストロングポイントであるフランクフルトにおいて、的確な守備を実行できるというのはレギュラーメンバーにおける必須事項だ。では、その守備の部分をクリアできたアタッカーの鎌田が攻撃面で魅せているのはどのような部分になるのか?
鎌田の強みは
①柔らかいトラップ・ワンタッチパス
②深い切り返し
③(良い意味での)攻撃のテンポのスローダウン
にある。
鎌田は強い楔のパスを正確にコントロールすることができる。ボールを受けると無理なターンはせず、柔らかいパスを返しワンツーやレイオフパスを決める技術を備えている。確実にボールを収め、パスの循環を促すことができるため、チームの攻撃の潤滑油として存在感を発揮している。
カウンターにおいては横パスが弱く味方のスピードを殺してしまうシーンが生まれる点は玉に瑕で、改善の余地の見られる部分だ。
ドリブルも得意とする左シャドーの鎌田は右脚アウトサイドへの深い切り返しからカットインしてファーサイドに巻いたシュートを放つことができる。それを警戒したDFに対し、キックフェイントで左脚側に切り返して抜くドリブルは決定的な仕事をこなすのに十分な高い精度を誇る。
そんなボールコントロールに優れた鎌田は、チームの攻撃のテンポを意図的に落とすことができる。攻撃の準備が整っていない状態でボールを受ければ無理に前進せずに隣や後ろの選手とパス交換を行い全体の押し上げを待ち、そののちにポジションを取り直すことができる。チームの攻撃のテンポを変えられる選手は、それだけチームにとって大きな存在であるといえる。
バタバタした展開で、ネガティブトランジションで弱さを見せるフランクフルトにとってはなおのこと価値のある存在だ。
攻撃においても自身の特徴を活かしてチームの重要なピースとなっている鎌田だが、当然改善の余地の見られる部分もある。それは上述のボール奪取力とカウンターにおけるパスの部分だ。鎌田にとってもそうだが、守備とカウンターを強みとするフランクフルトにとっても改善されると心強いものとなる。
日本代表としても当然期待のかかる人材であるが、代表が4-3-3を採用するのであれば「どのポジションで起用されるか」という問題が発生する。鎌田はトップ下やシャドーで力を発揮するタイプであるが、ウイングとしてはスピードに欠ける。IHとしては守備の部分で対応できるのか未知数である。
起用されるポジションが不明確であるものの連携で崩すのが得意なタイプであるため、そこで他の選手との違いを見せつけることができればジョーカー的存在としてでも大きな戦力となるはずだ。
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とんとんさん、ありがとうございました!
鎌田選手、今後も活躍が楽しみです。そして、19日に控えるEL決勝ではどのような戦いぶりを見せてくれるのか、期待が高まりますね。
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