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「鳥の眼」で観る欧州サッカー〜【長短両刀】ポッター・ブライトンの3-1-5-1攻撃戦術〜

こんにちは!
FL-UXマーケティングチームです。

3連休の方、お仕事の方、皆さん、いかがお過ごしでしょうか。

さて、本日は、前回好評だったとんとんさんによるブライトンの戦術分析に引き続き、ブライトンの攻撃戦術を取り上げていただきました。
前回の記事をまだ読まれていない方は、こちらからお読みいただけますので、ぜひ合わせてお楽しみください!

それでは、早速とんとんさん、お願いいたします!

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■ロングボール

昨季のブライトンはポゼッション率4位と高い数値を記録していたが、22-23シーズンは9位。ロングボールが4位と増え、1試合平均ショートパスは443本から377本へと減少している。

ロングボールの比率が高まる中で、その重要性も増している。カギとなるのはシステムとCFウェルベックだ。
ブライトンがロングボールを蹴るのは、マンチェスター・ユナイテッドやリーズのように相手が前からプレッシングをかけてくる時だ。逆にフラムやレスターのようにプレス開始位置をミドルゾーンに定め、センターサークル先端辺りからプレスを開始するチームに対してのロングボールはほとんど利用せず、丁寧につないでいく。

ロングボールにおける特徴はまず配置で優位に立つことだ。相手がやや引いた位置に立つ場合ロングボールは使用しない。これは、相手が密集している中へのロングボールとなるため、当然ながら配置的に優位に立つことはできないからだ。

意識すべくは相手のDFラインの枚数を減らすことである。例えば上図のように、HVフェルトマンが敵SHをひきつけると、WBマーシュは敵SBをひきつけることができるようになる。左WBトロサールが張って敵SBを釘付けにすることで、敵のDFラインは左SBが前進し右SBが外に張る形となるため、3バックかつ選手間の距離が広い状態となる。
ここで力を発揮するのがCFウェルベックだ。

185cmでパワーがあり、裏に抜けるスピードも兼ね備えたストライカーは、特徴を活かして大きく広がったDFラインの隙間や背後でボールを収めていく。

4バックとなり、バックパスに合わせて相手を釣り出しGKも交えたビルドアップを行う場合、DFラインをさらに広げることができる。CBが大きく広がることでそこに敵SHを誘き寄せ、SB同士のマッチアップとすることで、敵CBがサイドのケアに出て中央に広大なスペースが出来上がる。
CBのダンクは素早く後方に下がりセーフティなパスコースを提供。「深さ」を作り出し、仮に相手がプレスをかけてくれば、それは「釣り出し」に成功したと言える。前方に大きなスペースを与えることを意味する。
空いたスペースにWGとウェルベックが侵入していく。この状態を作り出すことができれば、ブライトンは迷いなくロングボールを選択する。ロングボールは時に淡白にも見えるが、意識が統一されていることがうかがえる。

■ビルドアップ

相手が前からプレッシングをかけてくる場合、前方の広大なスペースに向けてロングボールを蹴っていく。相手がそれを嫌い、引いてスペースを埋める場合はパスをつないで前進していく。
ビルドアップのメインは3CB+アンカー・アリスターの4人だ。3-1-5-1で攻撃を進め、時折IHのグロスが低い位置で顔を出し、カイセドが被カウンターに備えやや低めの位置をとる。

特徴は前線に5枚を並べ、幅を持たせた攻撃だ。WBがサイドに位置することで相手のDFラインに対して数的優位を築く。ブライトンはロングボールを厭わないため、サイドで余っている選手を作り出せたときにそのエリアを使う意識が染みついている。
後方の選手は誰もがロングボールを蹴ることができる。ダンクとウェブスターはワイドで空いている選手に正確なフィードを送り込み、幅のある攻撃を可能にしている。

WBのトロサールとマーシュは共に起用サイドとは逆の脚が利き足であり、中を向いてプレーする機会が多い。得意のカットインを餌にチャンネルに抜けるウェルベックやIHを使うこともでき、文字通り攻撃の幅を広げている。
右CBフェルトマンもロブパスを送り届けることができるが、彼はそれ以上に楔のパスの質と配球先の選択に優れている。この2つはアンカーのアリスターも同様だ。

相手が切ったパスコースにパスを供給するいやらしい配球で攻撃にリズムを生んでいる。相手からすれば、一度切ったパスコースを復活させられるのが最も守備のリズムを崩しやすい。アリスターが降りてフェルトマンが位置を上げる等、細かなつなぎを用いたビルドアップにおいてこの2人は欠かすことのできないピースだ。
逆にウェブスターとダンクはそれほど積極的に中盤にボールをつけない。ロングボールとショートパスいずれで攻めていくかという部分で、中盤を使って攻撃を展開する余地のあるシーンも見られる。

全体で見ると3バックと4バックを使い分けた配置変更となるが、より局所的なポジションチェンジは右サイドで見られる。多くの攻撃はIHグロスの位置する右サイドからとなる。

右サイドでのポジションチェンジはシンプルだ。

  1. グロスとWBマーシュが並列に並ぶ

  2. グロスがサイドに降りてマーシュがハーフスペースに絞る

のいずれかだ。右HVのフェルトマンは高い位置での攻撃には特に参加しない。

グロスとマーシュが並列に並ぶ場合は、グロスがハーフスペース、マーシュが大外に立つノーマルな形だ。グロスはハーフスペースでパスを受けるのを得意とし、フェルトマンやアリスターからの楔を受けファイナルサード進出を目指す。またチャンネルへ抜けるプレーも多く、様々な形で攻撃に関与することができる。まさに攻撃の中心だ。

②はマーシュがサイドに張ってできた手前のスペースにグロスが流れる形だ。この動きはIHがフリーでボールを受けやすい形である。高精度のキックを持つグロスはクロスボールも得意としており、1試合当たりのキーパス本数は6節終了時点で6位となっている。

■攻撃面の課題

攻撃面の課題は、ショートパスとロングパスの使い分けに伴う攻撃の機能不全と被カウンターだ。ここの意思統一がずれてしまうと攻撃は機能不全に陥る。また大きく広がったところでショートパスを引っかければ、ネガティブトランジションが不安定となりカウンターを受けやすい。

ロングボールであればすぐさまカウンターを受けるという機会は少ないものの、アリスターの周辺のプロテクトが弱まれば一気にピンチに陥る可能性も秘める。

■三苫の起用法は?

三苫が起用されるのはやはりトロサールの入る左WBだろう。
トロサールは2トップの一角、WB、SBと状況に応じてポジションを変えることができ、このタスクをこなすに必要なスタミナもある。
柔らかなボールコントロールを持つララーナ、キック精度が武器のグロス、マーシュ、トロサール等技巧派でドリブルのできるプレイヤーが多いものの、どの選手も三苫ほどの縦への推進力は持ち合わせていない。特に両WB共にカットインを得意としており、縦に抜けても選択肢が少ない。

三苫の縦への突破はさらに一段階中に抉りこむことができるため得点につながりやすい。現在起用されている試合終盤での途中出場はまさに最適であるといえる。
エストゥピニャンと共に併用すればWBより守備タスクの少ないSHとして出場することもできる。まずは目に見える数字で成果を挙げ、出場機会を増やしていきたい。

■おわりに

ブライトンは攻守においてシステムの変動が激しい。しかし守備においてはマンツーマンという明確なコンセプトの元で3-5-2から微調整している。役割が重要視される形であるためシステムが分かりにくい。

攻撃においてはロングボールの使用率が増えており、3バック-4バックの変化はロングボールを送り込むうえでも効果的である。

相手を押し込んだ状態であれば3-1-5-1で幅を使った攻撃を見せ、大きなポジションチェンジは用いない。ロングボールとショートパスの併用がブライトンの攻撃の特徴であり、守備側として、そして観る側として掴みどころがないように感じさせる。守備におけるシステムの分かりにくさがそれに拍車をかけている。

監督が代わりどのような変化を遂げるのか。現在のサッカーは見ることができなくなるかもしれない。チェルシーでも再現は難しいかもしれない。ブライトン、そしてチェルシーがどのように変わっていくのか、監督交代が三苫にどのような影響を与えるのか注目だ。

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とんとんさん、ありがとうございました!


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