見出し画像

「鳥の眼」で観る欧州サッカー〜【変幻自在のシステムチェンジ】ポッター・ブライトンの3-5-2戦術分析〜後編〜

FL-UX_Realtime Analytics by. RUN.EDGE Limited.

こんばんは!
FL-UXマーケティングチームです。

さて、今回も、とんとんさんのご寄稿でお送りしております『「鳥の眼」で観る欧州サッカー』シリーズをお送りします。

今回は、前編に引き続き、グレアム・ポッター監督のチェルシー移籍で話題のブライトンの戦術分析・後編をお送りします。

それでは、とんとんさん、早速お願いいたします!

================================

◆フラム戦(4-2-3-1vs3-1-4-2)

フラム戦は3-1-4-2で試合に入った。フラムの4-2-3-1に対してブライトンの3-1-4-2はマークががっちりと噛み合う形となる。しかしフラムは右CHのリードがやや高めに、左CHのパリーニャが中盤の底に、トップ下のペレイラが左ハーフスペースに位置し、実質4-3-3-の形となった。そのため中盤のマークが噛み合わず、2トップが3枚を見る形となった。

アンカーに入ったフラムのパリーニャは的確なポジショニングとシンプルなパス捌きで2トップの守備を難しくさせた。右IHのリードもシンプルなワンタッチパスでリズムを作り、左WGのケバノはアジリティの差を活かしてフェルトマンより先にボールに触れて収め、細かなドリブルで攻撃にアクセントを加えた。

そして何よりCFのミトロビッチのポストプレーがブライトンのペースを崩させた。左CBのリアムから送られる正確なフィードや楔をアリスターの脇に降りて収め、攻撃の起点となった。この動きに対してCBのダンクがついていき、空いたスペースを左IHペレイラが狙っていった。

非常に機能性に優れたサッカーを展開したフラムにブライトンは苦戦した。そこでポッターはシステムを4-2-4に変更した。エストゥピニャンとトロサールが1列下がり、ムウェプが上がった形だ。2トップは縦関係でアンカーにつくことで、これまでよりも簡単にボールを捌かせないように守備を実行した。

この修正によりCBへのプレス自体は弱まったものの中盤はマークが噛み合い、ミトロビッチのポストプレーに対応してもDFラインに穴が開きにくくなった。

こういった試合中の修正は頻繁に行われ、ポッターの能力の高さがうかがえる部分である。

◆レスター戦(4-3-3vs3-5-2)

https://youtu.be/l6LK4t7VxQw

レスターはマディソンが中に絞りイヘアナチョがやや開く4-3-3気味に攻撃を展開する。中盤の3枚についてはポジション入れ替えや後方へ降りるプレーが非常に多い。ブライトンにとってポジションチェンジが多く流動的であるレスターはマンマークにつきにくい。

この試合のブライトンは3-5-2で守備に入った。攻撃時は3-1-5-1であるが、トップ下のムウェプが1枚上がる形だ。レスターが流動的であるため、中盤の選手は自身のゾーンに入ってきた選手を捕まえていく形であり、毎回同じ選手をマークするというわけにはいかなかった。

そんな中でプレスのはめ込みに成功するのは、相手のバックパスに合わせて右IHグロスが前進してアンカーのスマレに圧力をかけられる時だ。この時にようやく噛み合った状態を作り出すことができ、全体が連動して圧力をかけることができる。レスターは流動的であり、グロスの後方にティーレマンスという憂いがあるため毎回はめ込むというのは難しかった。そのため、レスターのバックパスに合わせてグロスがティーレマンス→スマレへとマークの相手を変えるのがプレスのトリガーとなった。

た。この際は右SBジャスティンが高い位置をとり、イヘアナチョが楔を受けるためのポジショニングをとる。対するブライトンはほぼマンツーマン気味に対応。トロサールがDFラインに吸収、カイセドが左SHの位置に入り、イヘアナチョに関してだけ左CBウェブスターから中盤でバランスをとるアリスターに受け渡され、形としては4-4-2となった。

アンカーのアリスターはブライトンの中で唯一と言ってよいくらい受け渡しやゾーンの意識、カバーリングが発生する。

DFラインに入るトロサールは低い位置まで押し込まれてしまうため体力的に、そしてチームとしては陣形的に難しい状況が生まれる。どこまで戻るのか、どこまでプレスをかけるのかが曖昧になってしまうのはこの戦い方の課題となる。

■ブライトンの守備戦術まとめ

表記こそ違うが4-3-3相手にはすべて3-5-2。相手の微妙な立ち位置の変化でブライトンの内部も少しずつ動き、全体で見た時のシステムが変わる。そのため「今のブライントのシステムはなんだ?」と混乱しやすい。

このシステム変更の根底にあるのは、とにかく相手の立ち位置に応じたマンマーク気味の噛み合わせだ。相手の立ち位置に対して無理なくプレッシングをかけられるようにポジションを移動する。アンカーのアリスターのみ、サポート・カバー役となる傾向が強い。

ポジションチェンジに関するキーマンとなるのはIHのグロスだ。運動量豊富な彼は最前線、中盤、DFラインサイドでの守備までをこなす。たとえ守備が噛み合わない場合でも、彼の移動とそれに伴うアンカー・アリスターの連動だけで事足りることもある。特にプレッシングは相手のバックパスに合わせて押し上げるグロスをキーにはめ込む形が多いため、なおさらだ。

その他トロサールも2トップの一角、左WB、左SBと位置を変え、フェルトマンも右SBとCBという役割変更が発生する。大きなポジションチェンジは彼ら3人となる。

噛み合った状態というのは相手から自由を奪う上で最も効果的だ。ビルドアップを阻害し、前線への供給の質を落とすことが重要である。ブライトンはボール支配率こそ高くないものの、被シュート数の少なさはリーグ4位となっている。相手に自由を与えず、シュートまで持ち込ませないよう前方で奪っている証左だ。

課題となるのはDFラインだ。まずカバーリングがおろそかになる。各メンバーが1vs1で対峙するため、カバーリングを行うのが難しい。ダンクは両脇のサポートに入るケースが見られるものの、ダンクが中央から抜けた際は大きなスペースが空いてしまう。現状そのスペースは、進入してきた相手をマークする選手(主にIH)が対応するため、不安定であることは間違いない。プレミア屈指のボール奪取能力をもつカイセドであってもだ。

ただし、危険であればシステムを変更し後ろに余裕を持たせることもできる。これがポッターの「修正力」という強みとなる。これは、ポジションとタスクを柔軟に変えられる器用なプレイヤーの存在が求められる。

また、両脇のCBがWGのスピードに晒されるというのも怖い話だ。ここでミスマッチが発生しドリブルでの仕掛けに苦戦すれば、前方で奪うというチーム全体のリズムを崩してしまうこととなる。さらにそれとは別に、DFラインが3枚であるため距離感が広く、その隙間を狙ったパスも大きな脅威となる。

相手のポジションチェンジが激しい場合、いかにゾーンを組み込むかという点も課題となりうる。

それでもマンツーマンで噛み合わせるプレッシングは中堅チームで増えている。ブンデスリーガではウニオン・ベルリン、セリエAではヴェローナなどだ。どれも後ろから人員を投入しやすい3バックを採用、強豪を苦しめるレベルであり、今後いわゆる「持たざる者」がビッグクラブを撃破するための選択肢のひとつとなりうるだろう。

================================

とんとんさん、ありがとうございました!

こちらのnoteでは、今後もとんとんさんにご協力いただきながら、新シーズンも開幕した欧州各国リーグの戦術分析をお送りしていく予定です。よろしければぜひフォローをお願いいたします。

また、とんとんさんがご自身で運営されているブログもぜひご覧ください。

それではまた!


弊社RUN.EDGEが開発・販売しているスポーツ映像分析アプリFL-UX(フラックス)の詳細は下記のリンクからご覧いただけます。
スマホのカメラを使ったライブ配信、映像の編集、共有、チャットが、一つのアプリで全てできます。
欧州サッカークラブをはじめとするプロチームが使う映像分析を、あなたのチームでもぜひ取り入れてみませんか。

☆★☆ユース・学生チーム向けのお得なプランもできました☆★☆

みんなにも読んでほしいですか?

オススメした記事はフォロワーのタイムラインに表示されます!
FL-UX_Realtime Analytics by. RUN.EDGE Limited.
サッカー、バスケなどのスポーツの戦術分析を中心に発信します。 映像分析ツールFL-UX(フラックス)の製品情報は下記サイトから (サッカー)http://fl-ux.run-edge.com (バスケ)https://basketball.fl-ux.run-edge.com/