
【プロサッカーアナリストを目指す現役大学生の成長日記】vol.6 スカウティング資料の作成で意識していること
こんばんは!
今日は、プロアナリストを目指し、沖縄国際大学で自ら分析班を立ち上げ、学生アナリストとして様々なチャレンジを続けている平安名和樹さんの成長日記シリーズ第6弾をお送りします。
今回は、「スカウティング資料の作成」にフォーカスし、平安名さんが自らの経験を通して感じていること、心がけていることについてまとめていただきました。
それでは、平安名さん、お願いいたします!
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こんにちは!
「現役大学生の成長日記」として定期的に投稿させていただいている沖縄国際大学サッカー部アナリストの平安名和樹です。
私が大学に入ってプロのアナリストを目指すようになってから、いろいろ取り組んできたことをお届けしていきたいと思っております。よろしくお願いします。
前回は、新チームが始まっての「チームとの関わり」についてお話しさせていただきました。今回は、ここ最近プロの方々とお話をする機会が増えてきたことで感じた「大学サッカーとプロのスカウティングの作成の基本的な違いや、資料を作るにあたって自分が意識している事」についてお話していきたいと思います。
スカウティングにどれだけ時間をかけられるのか、大学サッカー部とプロの現場との基本的な違い
以前書いた記事で、大会に向けてのスカウティングの内容を少しお話しましたが、もう少し掘り下げていこうと思います。
対戦相手の分析をするにあたって、大学サッカー部では「分析班」というチームなどを作り、一つのチームを複数で分担して分析するチームや、一人で分析をするチームもあると思います。私も一人で対戦相手と自チームの分析をするのですが、スカウティングの資料作成にどれぐらい時間をかけてやるかで、選手の理解度や、試合内容が変わってくると思います。
大学サッカーの場合は公式戦が毎週あることは少なく、トーナメント戦やリーグ戦でも次の試合が二週間空いたり、一ヶ月空いたりすることはよくあります。そのスケジュールの中で相手の試合映像を見てスカウティング資料を作ったり、映像を編集する時間を多くかけられると思っています。
しかし、プロの現場などでは基本的に毎週公式戦があり、日によっては中3日や2日ですぐ試合がある状況というのは多いです。そんな状況の中でスカウティング資料を作るとなると、1日〜2日で資料を完成させないといけません。その部分では大学サッカーと大きく違うと思います。
その他でいうと映像の入手難易度が異なります。プロの現場などでは映像がクラウド上にアップされていたり、比較的に入手することは簡単ですが、大学サッカーでは基本自分達で現地に行き、映像を撮りに行かないといけません。なので大学サッカーでは映像の入手に時間がかかり、スカウティングの作成にも多く時間をかける事ができる。プロの現場だと映像入手は時間がかからないが、資料の作成に多くの時間をかけられない。という違いがあると思います。
分析には終わりはないと思っています。限られた時間の中でどれだけ突き詰めて深堀りできるかが大事になってきますが、時間がないからといってそのまま見た感じの分析をするわけにはいきません。分析の「質」はとても大事ですが、それがプロの場合だと毎週作り続けられるスピードと「量」も大事になってきます。私もプロの現場を想定してスピードや効率重視で分析作業をしていたこともあったので、まずは時間がかかってでもしっかりと試合をしっかり見て考察してまとめる事ができるように心掛けています。
大学サッカーとプロの比較
大学サッカー
映像の入手:時間がかかる
分析の人数:1人〜数十人
スカウティング資料の作成時間:多く時間をかける事ができる
プロ
映像の入手:比較的手に入りやすい
分析の人数:基本的には1人
スカウティング資料の作成時間:多く時間をかけられない
スカウティング資料の作成で意識している事
今年4月に行われた公式戦はトーナメント方式で準々決勝から準決勝までの期間が一ヶ月以上空いていました。まず対戦相手の映像を入手するために、毎週チームの練習後、試合会場に足を運び、対戦相手の試合を見に行きました。直近の3〜4試合を集めるのに二週間以上はかかりました。そこから集まった映像に目を通し資料を作っていくのですが、私を含め資料を作る際にしてしまいがちなことは、つい「作り手目線」で作ってしまうことです。
「作り手目線」というのは相手の直近の試合、3〜4試合を見ていた人がその人の目線で資料を作ってしまうこと。その目線で作ることが間違いという事ではないですが、「誰に対してのスカウティングか」を考えると、イメージはつくと思います。スカウティング資料を作ってプレゼンする目的は、選手にとって必要な情報を落とし込むこと、かつそれを試合の勝利に結びつけることです。資料を作って選手たちにプレゼンをする際、選手はミーティングの時に初めてアナリストが使った資料を見る事が多いです。いかに選手たちに分かりやすく、かつ的確に、プロの現場だとそれをスピーディーに作れるかが大事でそれを考えると、分かりやすく作るためには「作り手目線」ではなく「選手目線」で作る必要があるということだと思いました。
もう一つ、資料を作るにあたって大事になってくるところは「自分達と対戦した時にどうなるのか」というところです。相手の映像を見た上で選手たちに分かりやすいような「書き方」「イラストの作り方」などを工夫しながら具体的な情報を載せていくのですが、その情報というのは自分達と対戦した時に実際に起こるのか、自分達の形に沿った内容なのか、を考えないといけません。
この考えは、チームに所属しているアナリストの分析の仕方と、第三者から見た分析の仕方、あとは監督からの指示などによって仕方は変わるとは思います。第三者から見たスカウティングのプレゼンの場合だと、プレゼンする方のチームに所属していないため、単純に相手を見ての特徴や弱点を指摘した作りになることは多くあります。ですがチームに所属している場合だとそれだけでは不十分で、相手の特徴や弱点に加え、自分達と戦うときにそれは起こり得るのか、どう相手の長所を防いでどう自分達の形に持っていくかを踏まえなければいけないのです。
例えば、相手のスカウティングの守備のところで「前から積極的に圧力をかけて奪いにくる」という相手の特徴があったとしましょう。「その時に相手のボランチとセンターバックとの間にスペースができることがあるから、うちはビルドアップの時にFWに長いボール当てて、収めさせてセカンド拾ってプレスを回避し、相手コートにいこう」という分析をしたとします。
映像では相手の前からのプレスを回避するためにFWのポストプレーからの展開で回避できていたとしても、その方法は自分達のスタイルに合うのかを考えないといけないです。そもそも自分達のチームに長いボールを収められるFWがいなければその分析の提案は意味がなくなってしまうのです。
それらを踏まえた分析をするためには自分たちのチームのプレースタイルや特徴を理解しておかないといけないですし、第三者から見た分析でも、「自分達のチームはこういうことしたいのだろう」と想像して分析をする必要があるのです。そのような分析をするためには回数を重ねることが大事になってきます。いきなりできる訳では無いです。私もそこはまだまだ足りていない所であり、もっと試合を見て考える必要があると思っています。
スカウティングの仕方や、考え方についてはチームによって変わるので、一概に言えない事が多いです。監督から「相手の情報だけを教えて」と言われれば、その情報を伝える事が大事になってきます。そこは監督や他のスタッフとの関係性や信頼性のところが大きいので、求められていることにはもちろん答えて、それプラス何か気づいたことや、監督たちが見えてないところが言えるかが大事になってくると思います。私もまだまだ勉強中なので日々いろんな事を試行錯誤しながら今後も活動していこうと思います。
今回は大学サッカーとプロのスカウティングの作成の違いのところから、資料を作るにあたって自分が意識している事をお話しさせていただきました。最後までお付き合いいただきありがとうございます。次回もよろしくお願い致します。
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平安名さん、ありがとうございました!
今年度が始まってまだ2ヶ月ですが、すでに様々な試行錯誤を繰り返し、成長に向けて経験を積まれているようですね。
今後も、平安名さんの成長日記の更新を続けていきます。平安名さんの活動状況に応じてペースが不定期になることもありますが、それもリアルな側面として、あたたかく見守っていただけると私たちも大変嬉しいです。
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