
【新企画】「鳥の眼」で観るUEFAチャンピオンズリーグ〜ポチェッティーノ率いるパリ・サンジェルマンのワンポイント戦術分析〜
こんばんは!
今回もとんとんさんコラボ企画として、UEFAチャンピオンズリーグ特集をお送りします。今回は、前回のレアル・マドリード戦術分析に引き続き、パリ・サンジェルマンの戦術分析です。
それでは、とんとんさん、早速お願いいたします!
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基本布陣は4-3-3、世界最高峰の3トップを擁する。攻撃ではシンプルに3トップの力を活かし、彼らが弱みを見せる守備の面では中盤とDF陣がサポートを行う。
2CBとアンカーを中心に、細かなパスを用いて中央を起点としたビルドアップが行われ、ファイナルサードではサイドを使ってフィニッシュに持ち込む。安定したボール保持が望めない場合は引いてブロックを形成する。
守備

守備は4-3-3でセットされる。前線3枚の両脇は絞った位置をとり、大外はIHがスライドしてケアを行う。IHが間に合わなければSBが前進する。
ネイマールとムバッペは最低限抑えるべき中央エリアを抑えた守備を行うものの、メッシはほとんど守備に参加しないため、DFラインと中盤は大幅なスライドを行う必要がある。ゆえに逆サイドは大きく空いた状態となる。
ボールホルダーにプレスがかかりサイドチェンジを蹴らせないことができるのであれば逆サイドが大きく空いても問題ないが、3トップによる守備に難があり中盤以下はスペースを埋めることで手一杯となるためプレスがかからない。そのため、フリーのボールホルダーから大きく空いた逆サイドへ展開するという攻撃への対応が難しくなる。ボールサイドを縦に破られてクロスを上げられても危険だ。大きなスライドでゴール前の人数が手薄になるからだ。
中盤と3トップの間を制圧されると、中盤とDFラインはたまらず中央へ絞ることとなるため、大外からの飛び出しへの対応はより厳しいものとなる。
最終ラインのキンペンベとマルキーニョスはスピードとラインコントロールで背後へのケアに抜かりがなく、チャンネルのケアも行うことのできるプレイヤーだ。しかし、水際対策となれば事故も起きやすい。
守備に焦点を当てると難しい状況となるが、カウンターへの移行を考えると当然プラスになる部分もある。サイドチェンジがショートして守備陣に引っかかる、奪取力の高いゲイェが奪回すれば、ボールはムバッペやネイマール、メッシに預けられ、独力でもチャンスが演出される。特にスピードスター・ムバッペの対応はどの選手でも手を焼くものとなる。
攻撃
🔴🔵 Transitioning from defence to attack in style, by Paris...@PSG_English | #UCL pic.twitter.com/YNdDhKTpIN
— UEFA Champions League (@ChampionsLeague) December 15, 2021
・ミドルサード、アタッキングサードでの攻撃はサイドが主体となる。ただしそこに至るまではCB、アンカーが主体となり中央でボールの循環がなされる。敵が守備ブロックを中央に圧縮するため、サイドにスペースの「貯金」を与えた状態でボールを送り込むことができる。
・CBのキンペンベ、マルキーニョスはアンカーにボールを集める傾向が強い。蹴りださずに的確にボールを前進させるパス能力を持つ2人は、ボール循環における重要な役割を担っている。アンカーのヴェラッティ、パレデスはショートパスで敵ブロックを揺さぶることのできるタイプのパサーだ。彼らのこの志向がパリのショートパス主体の攻撃を支えている。
・WGに入るメッシはドリブルでの突破に加え、カットインしてからの逆サイドへの展開で好機を演出する。CFに入る場合はハーフスペースもしくは低い位置に降りてパス回しに関与する傾向が強い。
・サイド攻撃はWGが少しだけ絞りSBが上がるというポジションチェンジと、シンプルなワンツーでの打開が多い。敵をいなすことに長けたスターであるメッシが低い位置でボールをロストした際は、追うことをしないためそのままカウンターに突入されることとなる。
IHの立ち位置
メッシ、ネイマール、ムバッペ。、まさにゲームの世界のように強力な3トップを支える中盤の選手は非常に重要な役割を担うこととなる。それは先述の守備においても同様だ。
パリはサイド攻撃が主体となる。IHの仕事は他のチームに比べると黒子としての役割が大きいものの、サイド攻撃をスムーズに進めるための潤滑油になることにある。エレーラのポジショニング、ゲイェのアンカーサポートが攻撃にリズムを生み出していく。
彼らは以下のようにポジションを移し、チームのバランスを保っている。
1.守備ブロックの目が粗い相手に対して
敵ブロックの1列目と2列目の間に入る。

2.密な4-2-4守備ブロックに対して
六角形の中に位置し、敵SHを内側に釘付けにすることでSBとWGによるサイド攻撃を促す。かつ、カウンター対策の役割を果たす。

3.フラットな4-4-2に対して
2トップの脇、2列目の手前で守備ブロックに穴を空ける

4.プレッシング主体のチームに対して
高い位置をとることでスペースを作り出し、プレッシングをいなすことのできるメッシやネイマールに早めにボールを預けさせる。もしくはSBのインナーラップを活用させる(メッシ、エレーラ、ハキミの右サイドで多い)

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とんとんさん、ありがとうございました!
2月16日に行われる対レアル・マドリード戦のマッチプレビューの方も続いてアップしていきますので、ぜひ楽しみにしていてください。
それではまた!
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