
「鳥の眼」で観るW杯2022〜日本大逆転勝利の要因「システムチェンジ」でどう変わった??〜
こんばんは!
FL-UXマーケティングチームです。
さて、昨日のW杯初戦、日本代表の選手たちが素晴らしい闘いぶりを見せてくれましたね・・・!胸が熱くなった人も多いのではないでしょうか。
強豪ドイツ代表に勝利という、素晴らしいスタート。これからの日本代表チームの活躍も楽しみですね!!
早速ですが、昨日の対ドイツ代表戦のレビューをとんとんさんが書いてくださいました!
==============================
◆3エリアでみる前半劣勢の原因

日本が前半に苦戦した原因はシステムの噛み合わせである。主に問題となったのが上図3つのエリアだ。
日本は攻撃時4-2-3-1、守備においてはトップ下の鎌田がCF前田と並ぶ4-4-2のシステムを採用。
対してドイツは左SBのラウムを前線高くに押し上げる3-2-5で攻撃を推し進めていった。
このラウムの位置取りに大きく押し込まれてしまったのが右SH伊東だ。伊東が中途半端に引いたことで、①のエリアをケアできる選手がいなくなり、シュローターベックが完全にフリーでボールを持ち運べることとなった。
伊東が下がらなければ最終ラインが4vs5の数的不利に陥ってしまう。しかし、シュローターベックのケアもしなければならない。
そんな葛藤が生じる中、伊東は完全に引くことをしなかった。「シュローターベックへのアプローチとカウンターも意識しつつラウムをケアできる」、といった悪く言えば中途半端な立ち位置となった。右SB酒井と伊東で担当エリア・担当のマークがずれ、ラウムとムシアラ、どちらがどちらをマークする?という迷いから、右サイド深い②のエリアにラウムやムシアラの侵入を許すケースが相次いだ。
そして中盤の遠藤や田中がシュローターベックのケア、そして②のエリアに入っていく選手のケアを行う必要が出てくると、③のエリアに位置するチームの心臓・キミッヒ&ギュンドアンへのパスコースを塞ぐ選手がいなくなってしまう。この中央へのパスコースが開放されると、中からも右からも左からも攻め込まれてしまう。オセロで要所の四隅を取られるような不利な状況となる。

そうした状況で生まれたのが失点シーンだ。
ズーレに久保が寄せ、田中がキミッヒをケアする中で、守備ブロックの隙間でボールを受けるハフェルツがフリーとなる。田中がハフェルツを追いかけると、ミュラーを経由して田中が元々マークしていたキミッヒがフリーとなる。この時振り回された田中は、手の打ちようがなかっただろう。
この状態で日本の右サイドでは酒井と伊東の中で混乱が起きていた。
「危険なエリアにいるムシアラをどう抑えるか??」
この試合のムシアラは19歳ながら突出したパフォーマンスを披露。日本のDF陣は大きく揺さぶられていたため、この迷いが生じるのは当然だ。
酒井はムシアラをいち早くケアしようと動いたが、伊東はシュローターベックも気にしており、ラウムに間に合う位置取りではない。ここでキミッヒからラウムへ美しいロブパスが渡り、完全にフリーにさせてしまったのだ。
以上のような形が前半45分間永遠と続き、完全なる劣勢に陥った。
◆完璧な後半の修正
では、後半の大逆転劇はどのように生まれたのか?
ここでも挙げているように強豪ドイツにはいくつかの弱点が存在する。
後半はこれらの弱点、特に「5-2-3」への変更が大逆転勝利に繋がる特大の打ち手となった。

5-2-3への変更は、前半戦散々苦しめられた右サイドの役割(マーク)を整理するのに効果を発揮した。
誰が誰のマークにつくのか?という迷いの一切が払拭される、ドイツのシステムにガッチリと噛み合う5-2-3は、全体でドイツをプレスで嵌め込むのに効果抜群だ。心臓となるキミッヒをもケアできる最高の打ち手は、ドイツがこれまで何度も欧州予選で苦戦したものであった。
格上相手にマンツーマン気味に噛み合わせてプレッシングを行う守備方式は、欧州においてしばしば見られる光景となっている。
ドイツのプレスが弱まる後半に前からプレスをはめ、前線メンバーのスピードを活かして3バックの隙間を狙うカウンターを繰り出す。ドイツのCHは選出人数が少ない上に強度が低いため、被カウンター・ブロック守備のいずれにおいても安定していない。CB陣はズーレ等カバーリングに乱れがある選手が存在する。
プレスを掻い潜るためのロングボールを収めるのに長けた選手も、ドイツにはいない。
ドイツを押し込むことで、彼らの弱点であるブロック守備の粗を突いたとも言える。
日本がボールを保持して攻撃する場合、ドイツは4-2-3-1に戻しての守備となり、マークが噛み合わなくなる。前半日本が苦しんだ戦い方をドイツに強いる形となったのだ。
久保に替わる選手が堂安等前線メンバーでなくCB富安であった点から、3バックへのシステムチェンジは森保監督の当初の予定通りだったと予想される。
後半にシステムチェンジを行い、続々と攻撃的なプレイヤーを投入、ドイツのお株を奪うプレッシングでドイツを破ったこの試合は、まさに「快心の出来」の一言に尽きるだろう。
==============================
とんとんさん、ありがとうございました!
次の日本代表チームの試合は、11月27日(日)19:00〜、対コスタリカ戦です。楽しみですね!
さて、こちらのnoteでは、「鳥の眼」シリーズでおなじみとんとんさんによるW杯関連の記事を今後も公開してまいりますので、ぜひフォローをお願いいたします!また、とんとんさんご自身が運営されているブログもぜひチェックしてみてくださいね。
(とんとんさんの欧州サッカー分析各記事はこちらのマガジンからお読みいただけます。)
それではまた!
弊社RUN.EDGEが開発・販売しているスポーツ映像分析アプリFL-UX(フラックス)の詳細は下記のリンクからご覧いただけます。
スマホのカメラを使ったライブ配信、映像の編集、共有、チャットが、一つのアプリで全てできます。
欧州サッカークラブをはじめとするプロチームが使う映像分析を、あなたのチームでもぜひ取り入れてみませんか。
☆★☆ユース・学生チーム向けのお得なプランもできました☆★☆