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【極めて強気の守備ブロック】グラスナー率いるフランクフルト5-2-3戦術分析〜前編〜

こんばんは!
FL-UX マーケティングチームです。

ゴールデンウィーク、お休みだった方もお仕事だった方もお疲れ様でした!

さて、本日は、とんとんさんからご寄稿いただきましたフランクフルトの戦術分析をお送りしたいと思います。
42季ぶりのEL決勝進出を果たしたフランクフルトの活躍に注目されている方も多いのではないでしょうか。早速見ていきたいと思います!

それでは、とんとんさん、お願いいたします!

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ELの舞台でフランクフルトが躍動している。ベティス、バルセロナ、ウエストハムと並みいる強豪チームと互角以上の戦いを繰り広げ、決勝に進出したのだ。

グラスナー監督率いるフランクフルトの最大の強みは高い位置での「点を取るための」5-2-3守備ブロックと速攻だ。高い位置で奪うべく的確に遂行される彼らの守備は強豪相手にも通用することが証明され、特筆に値するものとなっている。

今回は日本人プレイヤー・鎌田大地もレギュラーとして定着しているフランクフルトの守備戦術をメインに紐解いていく。

■基本布陣

フランクフルトの基本布陣は5-2-3だ。GKにはドイツ代表経験もあるトラップが入る。長谷部も起用されていたCBには鋭い楔とカバーリングが持ち味のヒンターエッガー、右HVにそつなく守備をこなすトゥタ、左HVには鋭い出足で攻撃の芽を摘む期待の若手フランス人プレイヤー、エンディカが起用される。両WBには本来アタッカーの2人が起用される。右にはドルトムントからローン加入しており、ワンタッチパスやドリブルを起用にこなす20歳クナウフ。左には正確で力強いキックとスピードが持ち味のコスティッチが入る。スタミナの求められる2CHには万能型ソウと安定した守備をみせるヤキッチ、もしくは巧みなポジションチェンジやパスが得意なローデが入る。シャドーは、右にスピードがあり細かなパスとドリブル、アウトサイドパスで攻撃に変化をつけられる技巧派リンドストローム。左に柔らかなパスと深い切り替えしを持ち味に攻撃のテンポを変えられる鎌田が入る。CFにはスピードがあり、献身的な守備と正確なレイオフパスでカウンターの起点にもなれるボレが起用される。

■チームのスタイル
フランクフルトの持ち味は5-2-3でセットする守備にある。敵陣センターサークルとペナルティアークの間に前線3人をセットし、巧みに中央のコースを遮断しながら高い位置でボールを奪いカウンターに持ち込む戦術が高いレベルで機能している。バイエルンやバルセロナが相手でも同様だ。ただし後半になるとブロックが下がり危険なシーンが増える傾向がある。
攻撃はCBヒンターエッガーの楔のパスを合図にボレやリンドストローム、鎌田といった前線の選手が溜めを作り、攻撃力の高いクナウフ、コスティッチのWB陣が大外から攻め上がり敵陣を穿つ。

■守備戦術
フランクフルトは守備時も5-2-3でセットする。プレス開始位置は主に、前半:センターサークルとペナルティアークの間、スタミナ的に厳しくなる後半:自陣に入ってから、という形だ。基本的に誘導をかけるプレッシングを行うというよりも、高い位置で相手のパスを待ち構えるリヴァプールのような守備が採用される。

相手のDFラインに相対する前線3枚の役割から見ていく。CFのボレはアンカーへのパスコースを切る位置取りを維持しつつ、前進してきたら寄せに出ていく。両脇のシャドーは、ハーフスペース内寄りでボレとの距離感をある程度維持し、間を通されないよう牽制しつつ、SBへのプレッシャーもかけられるようにポジションをとる。ただしボレとの間を通されないように、という点に関してはそれほどセンシティブではない。なぜならその間には常にソウとヤキッチの2CHが位置しており、狩場となっているからだ。
相手の中盤が3トップの間から顔を出せば、2CHは必ずついていきアタックする。「3トップの隙間」という形でボールの出し先を限定できればボール奪取への予測が立てやすく、前を向かせなければ3トップによるプレスバックも期待でき、高い位置でのボール奪取につながるのだ。

2CHの守備力とスタミナはフランクフルトの守備において非常に大きなカギを握っている。例えば相手が外から迂回するようにSBへパスを展開した際、シャドーが的確にバックパスのコースを遮断できていればサイドまでスライドしてボールを狩りに出ていくケースも見られる。基本的にSBに対して高い位置でプレスをかけるのはWBの役割となるが、前進が間に合わなければCHが出ていくのだ。
逆CHもボールサイドまでスライドしてアンカーに対して中を切るように近寄りつつ、プレスの第2波となる。
この時、逆のハーフスペース付近が大きく空くこととなるが、ここはシャドーが下がり気味でカバーに入る。リンドストロームも鎌田もこの部分のカバーリングの意識を持ち合わせている。ボールと反対サイドのシャドーは、時に自サイドへの展開を防止するために高い位置でCBにプレッシャーをかけられる位置もしくはSBへのパスコースを遮断するような位置をとり、自サイドへの展開は無いと見ればCHのカバーに入れる低い位置をとる必要があり、状況の把握・判断力が求められる。カバーリングの必要がなければ高めの位置でカウンターの準備をするため、味方CHの位置取りも把握しておく必要があるのだ。

3トップの間からCHの脇にボールを送り込まれるケースは、一見すると嫌な形であるがCHのスライドが容易に間に合うためさほど脅威となっていない。左サイドであれば出足の良いエンディカがボールをからめとることもでき、シャドーのプレスバックが間に合い高い位置でのパスカットにつながるシーンも多い。

WBの守備位置はチーム全体のプレス開始位置によって変化する。プレス開始位置が高い場合、WBも大きく前進し敵SBにプレッシャーをかけることが多い。敵WGが高い位置で張っている場合でもSBに向かって前進し、HVがサイドにスライドして敵WGのケアを行う。逆にプレス開始位置が低い場合は、WBが前進せずともシャドーやCHによるサイドへのスライドが間に合うため、DFラインでの連携ミスが出る可能性を鑑みて無理な前進はしない。

DFラインの連携は守備における大きなポイントとなっている。WBが前進した際のスライドもそうであるが、空いたスペースを確実に埋める意識が強い。CH間を通されたときにヒンターエッガーが、CH脇に通されたときにエンディカがそれぞれ前進して対応するシーンが多いが、その際にDFラインに残った選手たちが確実にスペースを埋めるよう絞ってポジションを修正する。CHのラインが抜かれれば5人がペナルティエリアの幅まで絞ってシュートブロックできるよう壁を作る。

3バックに対しては配置が噛み合うパターンが多い。例えば、4-3-3から3バック化して3-4-2-1に変形するチームに対しては5-2-3のシステムががっちりと噛み合い、マークの所在が分かりやすくなる。

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とんとんさん、ありがとうございました!

いかがでしたでしょうか。守備戦術についてまとめていただいた前編でしたが、後編は、攻撃戦術について書いていただきたいと思います。ぜひお楽しみにしていてください。

こちらの分析記事の著者とんとんさんのブログはこちら


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それではまた!

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