データで検証!Jリーグとプレミアリーグを徹底比較!
こんばんは!
本日は、ご好評いただいているモリモトソウさんの「データでみる」特集第5弾として、「データで検証!Jリーグとプレミアリーグを徹底比較!」編をお送りします。
(他の「データでみる」特集の記事は、下記のリンクからご覧いただけますのでぜひチェックしてみてください!)
今回は、Jリーグとプレミアリーグを様々な観点で比較してみようということで、下記のようなサイトでチェックできるデータを参考に、シュートやゴールなどのプレーイベント、さらにはホームアドバンテージや警告の数などから伺い知ることのできる各リーグの特徴についてまとめていただきました。
(ここからモリモトソウさんの文章です。)
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昨今、日本人選手の海外移籍が大きく増加している。
挑戦する機会が増えているだけでなく、挑戦を終えJリーグでプレーすることで今までの経験を還元してくれる選手も少しずつ現れている。そんな中で、日本とヨーロッパのサッカーは別物だと言う選手も少なくない。
そこで、今回からはJ1リーグと欧州の各国のリーグとでデータとしてどのような差があるかを比較していく。
今回は、プレミアリーグ編。早速見ていこう。
※値は、1チームあたりの1試合平均で比較。最新シーズンのデータを採用しています。
※対象としたシーズンは、Jリーグは2021年シーズン、プレミアリーグ2021-2022シーズンです。
ゴール数
まずは、何と言ってもサッカーの醍醐味であるゴール数を比較する。
プレミアリーグは1試合あたり2.87ゴール。対するJ1リーグは、2.43ゴールが平均で生まれている。
20チーム制であった昨シーズンのJリーグをベースに比較すると、毎節プレミアリーグの方が4.4ゴール多い。単刀直入に言うとかなりの差である。これだけゴール数で差が開いたのは、やはりエースストライカーのゴール数か。
昨シーズンのJリーグの得点王は、レアンドロ・ダミアンと前田大然の23ゴール。一方、プレミアリーグは、リーグの折り返しを少し過ぎた段階でトップのモハメド・サラーは16ゴールを記録している。その下には、少し差が開くが10ゴールのディオゴ・ジョタ以下2桁ゴール達成間近の選手がかなり控えている。
Jリーグは、結局夏に海外移籍した古橋亨悟の15ゴールが3位にランクインしたままシーズンが終了するなど、活躍した選手が海外に移籍する流れとはいえ、そういった絶対的なエースの存在についてはやや寂しさが残るかもしれない。
シュート数
次に、シュート数を比較していく。
1試合あたりの1チームのシュート数だが、プレミアリーグは12.8本。J1リーグは、9.3本という結果となった。驚くことに、実に1試合あたり3.5本もの差がつく形となった。この数字自体の捉え方は、様々かもしれないがより縦に早いダイナミックなサッカーが特徴のプレミアリーグの方がシュート数は多いというのは合点が行く。
しかし、プレミアリーグの方がよりチーム間の戦力の差が激しい為、強豪チームが多くシュートを放っているだけなのではないかと筆者も思ったのだが、なんとシュート数の最小チームは、ノリッジの10.2本と全チームがJ1リーグの平均を上回る形となった。
特にエリア外からのシュートも両リーグで大きな差が感じられるだけに、相手を崩す回数はもちろんその手段としてミドルシュートも積極的に用いていきたいところだ。ゴールを決めるにはまずシュートから、ということかもしれない。
ホームアドバンテージ
さて、続いてはホームアドバンテージ。ホームチームがアウェイチームと比べてどれくらい良い成績を収めたかが基準になる。
ここでは、ホームアドバンテージを発揮しているチーム数、つまり、アウェイよりもホームの方が良いパフォーマンスレベルを収めているチームでの比較となる。この基準で見てみるとプレミアリーグは、13チームが該当した。しかし、J1リーグはなんと14チームが該当し、プレミアリーグを上回る格好となった。
筆者としては、プレミアリーグの各チームがスタジアムで作る雰囲気からは少々意外な結果であるように感じられる。
ちなみにホームアドバンテージは、順位的に中下位のチームほど大きく恩恵を受ける傾向にある。もっとも恩恵を受けているチームは、プレミアリーグはクリスタルパレスで、J1リーグはサガン鳥栖となっている。
クリスタルパレスは、ホームでトッテナムを破っている。後半戦でほとんどホームで強豪チームを迎え撃つ日程となっており、もしかすると上位争いをかき乱す存在となるかもしれない。そして、サガン鳥栖は2021シーズンの王者川崎フロンターレを3-1で完勝を収めるなど、サポーターの応援も借りてエネルギッシュなサッカーを披露した。
また、これは意外なデータだが川崎フロンターレは、ホームアドバンテージがなく戦績こそホームの方が良いが、チームのパフォーマンスレベルに限るとホームアウェイ問わず実力を発揮できているようだ。
警告数
そして、最後に競技としての激しさがわかりやすく出る警告数を比較する。ちなみにレッドカードは、イエローカード2枚として算出している。
気になる数字は、プレミアリーグの1試合あたりのカード枚数は、3.8枚。J1リーグの1試合あたりの1.97と約2倍の差が付いた。この数値は、両チーム合わせての数値のため、J1リーグだと1チームに1枚イエローカードが出るくらいのペースである。
これには、取り組むサッカーのタイプの違いや今シーズンのプレミアリーグが歓声やチャントを解禁(Jリーグは声出しの応援は禁止)している故に試合がヒートアップしやすいなどの側面がある。
しかし、純粋な競技面を観た印象でも主にプロフェッショナルファールといわれるものが大きく開いた差の要因のように感じる。というのも、プレミアリーグは攻守の入れ替えが早く展開が目まぐるしく変わるため、カウンターのような機会を迎えることが多く、のような状況になるとすかさずファールで止めてしまうことがほとんどだ。
一方で、J1リーグは非常にクリーンでそういった戦術的なファールも比べると少ない印象だ。
このように、ファールひとつをとっても両者のプレーの傾向や外的要因など、様々なことが影響していることがわかる。さらに、サッカーのトレンドの変化や新型コロナウイルスの拡大によるプロトコル変更などで、また来シーズン以降は違った結果が得られるかもしれない。
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モリモトソウさん、ありがとうございました!
Jリーグと海外リーグは様々な文脈で比較されることが多いかと思いますが、今回のようにデータに基づいてあらためて検証することで新たな発見も期待でき、とても面白いですね。こちらでモリモトソウさんが参考にされているプレーデータは一般に公開されているものもありますので、ぜひ皆さんも日頃のサッカートークに取り入れてみてはいかがでしょうか。
モリモトソウさんによる「データでみる」シリーズ、これからも数回続けていく予定ですので、ぜひ次回以降の更新も楽しみにしていてください。
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それではまた!
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