
サッカー4-3-3のフォーメーションの特徴(長所・短所)を徹底解説!
はじめに
最近流行りの4-3-3。
ペップ・グアルディオラ率いるマンチェスターシティが、展開した魅力的なフットボールを皮切りに、ユルゲン・クロップ率いるリバプールのエネルギッシュなスタイルによって、また人気が一躍高まりました。
近年、Jリーグでも多く導入されている4-3-3について解説していきます。
433フォーメーションの特徴
4-3-3の特徴としては、前にかける人数が多いことがあげられます。
ボールの保持の場合は、ペナルティエリアにかける人数が多く、非保持も前からのプレスで人数をかけることができ、そのままカウンターでもより多くの人数が関与することができます。
ポジショナルプレーに基づいた5レーンを活用した配置が自動的にできる点も、多く採用されている理由の一つです。
※5レーンは、図の赤い線で分けられています。
しかし、難易度も高いために導入できるチームの人材が揃っている必要もあります。
長所
5レーンを均等に使える初期配置
特徴でも少し触れましたが、これが最大の持ち味です。
攻撃面で誰がどこのゾーンを使うのか明確になることで、選手同士が使いたいエリアが被らないように再現性の高い攻撃を構築することができます。
また、攻撃時の選手間の距離が適切なものになるため、ゲーゲンプレスのようにボールを失った後にすぐにプレスをかけ、ボールをすぐに取り返すなど戦い方がハマれば相手を押し込んだまま試合を進めるができます。
リバプールやマンチェスターシティなどヨーロッパのトップクラスは、ここの再現性にはかなり力を注いでいると思います。
3トップに加えてインサイドハーフの5人で攻撃ができる
中盤の形が逆三角形になっており、前の2枚が攻撃の時はハーフスペースに侵入することでペナルティエリア中央の選手へのラストパスを供給したり、
時にはウイングが相手の陣地を深くえぐって、マイナスのクロスに合わせるなどフィニッシャー役としても振舞うことができます。
以前解説した4-4-2など他のフォーメーションに比べて、攻撃の人数が増えることで構築する攻撃のパターンが増えるのも大きなメリットです。
マンチェスターシティのデ・ブライネ選手がこのタスクを担っている代表的な選手です。
ビルドアップが安定する
4-4-2は、直線的なフォーメーションと説明しましたが、4-3-3は斜めにも直線上にも選手が配置されています。その分、ビルドアップにおけるパスの選択肢が増え、さらにゴールキーパーもキックのうまい選手を置くことができれば、相手のプレスを回避しやすくすることができます。
マンチェスターシティのエデルソン選手や、サガン鳥栖のパク・イルギュ選手が代表的です。
時には、偽サイドバックのように外側にいる選手が内側に入ってきたり、その分インサイドハーフがサイドに開くなど、ゾーンやレーンの使い分けを行うことで相手のプレスをいなしてビルドアップを行うこともあります。
Jリーグでも、川崎フロンターレはそういった取り組みをすることが多いです。登里享平選手は、Jリーグの中でも特にビルドアップの能力が高く、パス回しのテンポやプレス回避が淀みなくできます。
短所
両インサイドハーフに高い能力が必要
長所であげた通り、フィニッシュの局面でも積極的に関わることが求められます。
そこで、中盤の位置からゴール前へ侵入するタイミングの良さや得点に直結するラストパスの精度が必要になってきます。
そして、守備になったら定位置まで戻るのでかなりのスプリント数が要求されます。アンカーの選手の横のスペースを使われやすくなるため、場合によってはそこのスペースを埋める必要があり、攻守の切り替えでウイングの選手がプレスバックに遅れた場合は、そのスペースを埋める必要がありも、ハードワークが求められます。
とにかくフィールドを駆け回りながらも、攻守に奔走しながら程度得点に絡むことも求められるようなポジションで、ここでレベルの高い選手を揃えるのは非常に難しいです。
海外だと、ベルナルド・シウバ選手やワイナルドゥム選手が代表的です。まさに黒子。バルセロナ時代のラキティッチは、数字こそ派手に残しませんがチームになくてはならない存在でした
ウイングのドリブル能力
このフォーメーションは、ウイングの選手が相手のサイドバックやセンターバックと一対一で仕掛けることが多く、それを前提にチームで採用することが多いため、ドリブル能力が非常に重要になります。
スターリング選手や、サラー選手、マネ選手や三笘薫選手などドリブルやスピード能力の非常に高い選手が多いです。
実現難易度が高い
スピーディで、エキサイティングな試合運びができる可能性がある反面、
選手の能力が高いことが前提で戦術を組んでいることが多く、また選手の消耗が激しくなりがちなところがあります。
このフォーメーションを実践する上でのポイント
監督や指導者の目線でこのフォーメーションを実現する上で大切なことは、
・何でも出来て運動量のあるサイドハーフが2選手いること
・ドリブラータイプのウイング
・5レーンの理論の理解とそれを遂行する知力
になります。
・何でも出来て運動量のあるサイドハーフが2選手いること
長所や短所でも触れた通り、ここの選手はとにかく何でもできることが求められます。
・ドリブラータイプのウイング
ウイングの選手である以上、ある程度ドリブルの能力は高いと思いますが、カウンターの場面ではオープンな展開でゴールに迫ることができ、相手がブロックを敷いてきた時には、対峙したディフェンダーを抜き去るドリブルも大切です。
特に、試合が膠着した状態になると、こういった選手の個の局面打開が必要になることもあります。
・5レーンの理論の理解とそれを遂行する知力
別の言い方だと戦術理解度です。しっかりとチーム戦術として、誰がどこにいることでどうやって相手を崩せて勝利に近づけるのか。
崩しの型のようなものを頭に叩き込んで実践することが非常に大事になります。そして、もちろん崩しの型を実際にピッチで表現することも大事ですが、パターン化された攻撃では、相手もすぐに対応してきます。
その時には、選手が型破りなプレーをする創造力もかなり大事です。
そして、戦術を浸透させるための伝える力と忍耐力も指導者側には求められると思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
最近のトレンドである4-3-3システムについて解説してみました。
皆さんのチーム強化やゲーム観戦にぜひお役立ていただければ幸いです。
それではまた!
written by モリモトソウ(Twitterはこちら)
映像を使ってフォーメーションの研究やプレー分析を行いたい方は、ぜひ手軽に始められる分析ツールFL-UX(フラックス)をお試しください。(1ヶ月無料トライアルがご利用いただけます。自動課金はございません。)