【陣形と配球策】スパレッティ・ナポリの4-3-3/4-2-3-1戦術分析〜前編〜

【陣形と配球策】スパレッティ・ナポリの4-3-3/4-2-3-1戦術分析〜前編〜

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こんにちは!

お待たせいたしました!先日掲載させていただいたローマの戦術分析が大好評いただいているとんとんさんから、続編ナポリの分析記事をご寄稿いただきました!

前編、後編に分かれております。まずは前編からお楽しみください!

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開幕8連勝と最高のスタートダッシュを切ったナポリ。新指揮官スパレッティの元、攻守ともに安定したパフォーマンスを見せる彼等だが、ここ最近は負傷者の増加に悩まされており、早々に正念場を迎えている。

加えてミラノ勢が好調を維持しているものの、主力離脱前の貯金もありスクテッド獲得戦線に残る可能性は十分に秘めている。

そんなナポリが主力離脱前にいかにチームを機能させていたのだろうか?
その戦術にフォーカスする。

■基本布陣

基本布陣

ナポリの基本布陣は4-2-3-1、もしくは4-3-3である。

GKには安定したセービングを見せカウンターの起点にもなるオスピナ、CBに守備の要であり正確な楔を打ち込めるクリバリと、相方として連携を取るラフマニ。

SBは右にカウンター対策としてリスク管理のこなせるディ・ロレンツォ、左SBにビルドアップにおけるプレーの幅を増やしたマリオ・ルイ。

CHは共にショートパスを得意とし、正確な左脚でビルドアップの要となるファビアン・ルイスと、長いリーチを攻守に活かすザンボが起用される。

右SHにはアジリティのあるポリターノ、左にカットインからのチャンスメイクで絶大な存在感を放つインシーニェ、トップ下には決定的な仕事をこなせるジエリンスキやショートパスでリズムを生み出すエルマスが入る。

CFには圧倒的なフィジカルとスピードでボールを収め、独力でシュートまで持ち込むことのできるストライカー、オシムヘンが君臨する。

■チームのスタイル

ナポリはセリエAの中で突出してボールポゼッション率の高いチームだ。彼等のパス回しは中央のCHに意識的にボールを預けることで敵の守備陣形を内側に寄せ、空いた外側を深く突き、難しければ中央を経由して逆サイドに展開する。守備陣からすると最も嫌なパス経路をチーム全体で共有し、備えている。
敵のプレッシャーが強い場合、SB裏にオシムヘンを走らせてロングボールを送り込む。彼のボールを収める能力はセリエAでもトップクラスであり、まさに「戦術・オシムヘン」として前進方法のひとつとなっている。
守備においては4-1-4-1もしくは4-4-1-1でゆったりとパスコースに制限をかけるようにプレスを敢行し、敵の自由を奪っていく。カウンター対策にも秀で、クリバリを中心としたDFラインの統制された動きは欧州屈指である。

■陣形ではなく配球策

ナポリの特異性はその陣形ではなく、「どこにパスを出してどう前進するのか」というパスルートの共通意識、配球策にある。4-2-3-1、4-3-3、3-2-5等形を変えても前進することができるのは、この共通意識を1人1人が外していないからである。
彼等の前進におけるパスルート最大の特徴は、圧倒的なCH経由頻度の高さである。ナポリのCBクリバリとラフマニを中心に、ビルドアップ時は必ず真っ先にCHにボールをつける。ラフマニから右SBディ・ロレンツォにボールを送る際も、あえて一度CHのザンボを経由するパスルートをとる。

配球

ゴールへの最短ルートは中央を真っすぐに切り裂くルートである。ボールを受けたCHからDFラインの隙間にボールを送り込むことができればチャンスにつながりやすいため、守備側は当然中を厚くして守る。ザンボにボールが渡ることで敵は中央にスライドし、視線もそこに集まる。中央にボールを寄せてから外のディ・ロレンツォに(もしくはCBにリターンしてからSBディ・ロレンツォへ)ボールを送ることで、手薄になった外からボールの前進を図ることができる。

多くのチームはCBからSBへパスを出すが、CHを介するというのがナポリ流だ。

これに対して敵がサイドにスライドしてきた場合も簡単に後ろに逃げるのではなく、WGと協力してサイドからの打開を模索する。打開が難しい場合は十分にひきつけたうえでCBではなくCHを経由して逆サイド、もしくは中央の楔で攻撃を展開していく。

このようにCHを経由しサイド、中央、逆サイドと十分にひきつけながらボールを展開していくのがナポリのパス回しの特徴だ。中央に意識的にボールを集めることでサイド攻撃とのバランスが向上し、どこからでも攻撃が展開しやすくなるのである。CHの経由が少なければ中央からの攻撃の頻度が減り、サイドからの攻撃に限定できれば守備は容易となる。また、CBを介したやり直しは守備側もスライドで対応しやすい。このCH経由の意識が薄くなれば前進に陰りが見える。つまり、CH経由頻度がナポリの攻撃の調子を伺えるバロメーターといえる。

■前進の戦術(右サイド)

上記のような考えを根底に持つナポリが前進するうえでの戦術的工夫が「配置」となる。

ナポリはビルドアップ段階で3バックに変化することが多い。SBのうち、主に左SBのマリオ・ルイがポジションをあげることで形成される。3バック+2CH、そしてトップ下の選手が中央で細かなパス回しを行うことで主導権を握る。CBが意識的にCHにボールを預けるのは先述の通りだが、中盤でのパス回し自体にも特徴がある。

中盤

ナポリはトップ下の選手が積極的にボールに関わるために降りてくる。これは「3人目」の関わりを増やして効率よく前進するための動きとなる。

例えば、ルイスがボールを持った際に隣のザンボへのパスコースが切られていたとする。この時にトップ下のジエリンスキが顔を出し、彼を経由することでザンボへのパスコースを新たに生み出すことができる。こういった3人目の関係を多用することで無数にパスコースを生み出しているのが中盤の特徴の一つだ。そして、トップ下が降りることで入れ替わるようにCHの片方がポジションを上げることができるというのも大きなメリットとなっている。ルイスには精度の高いミドルシュートがあり、ザンボには推進力があるため、彼らが前線に顔を出すことができるのは得点パターンの増加につながる。こういったトップ下の動きはジエリンスキだけでなくエルマスにも見られるものである。

敵が中央を厚くしたら手薄となったサイドから攻撃を展開する。この3バック化により、左右で攻撃のパターンに変化が生まれる。

右サイドではハーフスペースに位置するディ・ロレンツォを起点に攻撃が展開される。大外のSHポリターノとチャンネルに走る選手の2択を作り出すことで敵守備ブロックに歪を生み出し、ディ・ロレンツォからパスが供給される。チャンネルに走るのは主にオシムヘン、ジエリンスキ、そしてザンボである。いずれも推進力のあるプレイヤーだ。プレーエリアの広いザンボはディ・ロレンツォの役割を果たすこともあり、チャンネルに抜ける際は先述のトップ下との入れ替わりを活用するケースも多い。

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とんとんさん、ありがとうございます!

続く後編では、左サイドの前進の戦術、前線の守備戦術について分析いただきます。お楽しみに!


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それではまた!

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