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【サッカーアナリスト杉崎健さん連載 vol.3】チーム分析におけるデータ分析の手法

こんにちは!

早いもので、1月も第4週目に突入しました。皆さま、いかがお過ごしでしょうか。

本日は、プロサッカーアナリスト杉崎健さんによる連載第3弾。今回は、弊社が開発・販売しているプレー分析ツールFL-UX(フラックス)を使ったデータ分析の手法についてご紹介いただきました。

こちらのnoteをご覧の皆さまにおかれましては、すでにFL-UXのようなデジタルツールを日常のプレー分析やチーム強化に活用されているという方もいらっしゃれば、デジタルツールを取り入れることについてあまりイメージが湧かない方もいらっしゃるかと思います。

今回は、FL-UX以外の分析ツール含め、様々なツールをお使いになられてきた杉崎さんだからこそ語ることのできる、分析ツール、そしてそのツールを使った分析で得られるデータの使い方について纏めていただきました。

(ここから、杉崎さんの文章です。)
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当ページへのアクセスありがとうございます。定期的に投稿させていただいているサッカーアナリストの杉崎です。

アナリストに関わる事項やFL-UXをはじめとする映像分析の事項等について、様々な角度からお届けしております。よろしくお願いします。

前回は選手分析についてお話させていただきました。今回は、少し趣向を変えて、FL-UXでできるチーム分析やデータ分析の手法をお伝えしようと思います。

プロの現場において、もしくはアマチュアの現場でも同じですが、まずはチーム分析に力を入れているはずです。チーム分析抜きにして選手分析のみを行っているところは少ないと思いますし、チームが勝ち進むことを目的に分析しているところが多いのではないでしょうか。

では、皆さんはどうやってチームの分析を行っていますか?

映像を見ながらメモを取る、修正すべきシーンをピックアップする、スタッフ全員で見返して議論する、ホワイトボードを使って選手にフィードバックする。様々なことを「アナログ」で行っていませんか?アナログの手法を否定しているわけではありません。ただ、デジタルと比べると非効率であるのは明白です。また、アーカイブとして残らないため(メモなどは物理的に残せるものの整理が大変)、人が変わってしまうと再構築が求められます。

一方で、デジタルに頼り切っていることはありませんか?今度はデジタルの否定のような形です。パソコンや他デバイスを駆使して映像の切り抜きや分析を行い慣れてくると、アナログの手法を完全否定することもあるかもしれません。では、そのパソコンやデバイスが壊れたらどうしますか?ソフトウェアのサーバがダウンしたらどうしますか?アナログで取り直さないといけないですが、その整理ができていないともっと非効率になるでしょう。

チーム分析を行う上で、アナログだとデジタルに比べて非効率ですが、デジタルだとアナログ思考が希薄化します。もしどちらかに頼っている場合は、逆側の手法を取り入れることをオススメします。

少し話が逸れましたが、上記を踏まえた上でチーム分析をFL-UXのようなサービスで行うと、双方の良さを取り入れながら前に進むことができます。

例えば、チームの攻撃を分析する際、1試合90分の中で何分に何があったか、すべてを(アナログで)メモする人はいないかもしれません。後で見返す必要がなかったり、あるいは修正する必要がなかったりするシーンはメモすら取らないでしょう。でもFL-UXのタグ付けであれば、使わないにしてもとりあえずタグを打っておくことはできます。それがもし後で必要になっても、簡単に検索できるからです。

1試合の中で、攻撃が何回あったか、そのうち、敵陣の割合がどれくらいだったか?と質問されたら、アナログの人は答えられません。すべて取っていないので。でもFL-UXでタグ付けを行っているデジタルの人は答えられます。一方で、修正すべきシーンは何分のどんなシーン?と質問されたら、アナログの人の方が回答スピードは早いはず。「それをメインにメモしている」からです。そのメモというのが、単に何分に攻撃があったというタグ付けのような形で書く人はいないでしょう。斯々然々、この部分を修正しないと・・・のような形で少し具体的に記すはずです。デジタルの人は、タグ付け等で残せますが、残すことに必死で詳細を把握し切れていないことがあるでしょう。

あくまで例です。ただここから導き出されるのは、当たり前ですが「両方できた方が良いよね」ということだと思います。それを可能とするのがアナリストの存在です。もちろん、アナリストでなくても構いませんが、アナログにもデジタルにも強い役職という位置付けはアナリストが最適です。

チーム分析(または選手分析でも同じ)を円滑に回す時、アナログとデジタルの双方でサポートをする。チームとしてこれを行う時、ハイブリッドのアプローチが有効となります。

実際の画面だと図のような形ですね。

画面の左側に注目してください。少し小さくて見づらいかもしれませんが、片方のチームの攻撃と守備をすべてタグ付けし、その1つ1つに対して内容をラベリングしています。Adjust(自陣守備)のシーンでは相手のクロスがあったのかスルーパスがあったのか、切り替えが含まれるのか、そのシーンが良いのか悪いのか、修正すべきかどうか、優先順位などもラベリング可能です。これらをすべてのシーンで記録しておきながらも、主観ベースで(アナログ思考で)テキストを入れ込んでおくことも可能。そうすれば、後に検索することで作業効率を上げることができます。

実際にはここから、別画面に推移しますが、下記の図のように数字に置き換えて見ることも可能です。

例えば、左にあるBreakという敵陣攻撃(19回)の中にビルドアップから行えたものが2回、ZONE3で終わってしまった攻撃が14回でZONE4まで行けたのが5回のようにデータで一覧化することもできます。どんな項目を取るかはそれぞれのチームで違うと思いますが、敵陣での攻撃が19回ある中で相手の最終ラインを突破したのが5回というのは少ない。では何をどう改善するか。ZONE3のシーンの中でBADとつけているものを選択すると下記図のようになります。

14回の中にあるBADは5回。この5回の映像を見たければ画面左下の5シーンをクリックすればいいだけです。データを参照にしながらもアナログで映像を見ながら修正点を明確化し、選手へとフィードバックする。この流れはどこも行っていると思いますが、それを実行するまでのスピードは、ソフトを使っているか否かで大幅に異なります。

あるいは、上記の異なる図は別の試合のデータですが、取得の仕方が違います。クロスやスルーパスにおけるものを実際に蹴った位置や人をデータ化しています。これはクロスの図ですが、どこから何本かは見ればすぐ分かりますし、それがどの時間帯に行われたのか、誰が蹴ったものかもすぐに検索可能です。クロスなどメジャーなデータ項目であれば、世にも出ているかもしれません。ただ、自分たち独自の視点や項目が作れるというとどうでしょうか?外部会社等にお願いするのではなく、自分たちで取得することで即時性を持って対応できます。活用するとしないでは、円滑具合は明らかに異なります。

さらには、フィードバックも単に映像を見せるだけでなく、映像内にエフェクトを差し込んで焦点を同じにしておく。これによって選手がそれぞれで別々の観点になることもなく、統一されたフィードバックが可能となります。

ちなみに図内のデータは前半のみのデータです。実際にはこの約倍の数が計測されます。それが数試合重なってくれば膨大な量になってきます。そんな時、こうしたソフトウェアは解決策を見出してくれます。

データ分析というと構える人もいるかもしれませんが、今回の話を読んで、難しいと感じる人は少ないでしょう。ソフトを使うと意外にも簡単にできたりします。その先の、どうやって生かすかが難しい部分なのは理解しています。しかし、自分たちがやりたいサッカーはどういうものかを整理した上であれば、どんなデータがあれば定点観測できるか見えているはずです。それを単に見える化するだけの話。まずはここから始めてみてもいいと思います。

今回はチーム分析とデータ分析においてFL-UXの画面を用いながらのお話でした。最後までお付き合いいただきありがとうございます。次回もまたよろしくお願いします。

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杉崎さん、ありがとうございました!

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デジタルとアナログの両方を生かしたアプローチがアナリストには必要になってくるというお話は、分析ツールを開発する側の私たちにとっても大変参考になりました。

杉崎さんのお話を読んで、分析ツールにご興味をお持ちになった方はぜひ、FL-UXの無料トライアルを試してみてください!(1ヶ月無料。クレジットカード情報などの登録は不要です。)

それでは、来月の連載もぜひ楽しみにされていてください。
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それではまた!

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