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マンツーマン・流動性・罠。トゥドール率いるエラス・ヴェローナ3-4-2-1戦術分析〜前編〜

マンツーマン・流動性・罠。トゥドール率いるエラス・ヴェローナ3-4-2-1戦術分析〜前編〜

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こんにちは!

2022年最初の投稿です。
今週お仕事や学校が始まった方も多くいらっしゃると思います。皆さん、いかがお過ごしでしょうか。

こちらのnote『FL-UX Realtime Analytics』では、2022年も皆さまに楽しんでいただけるコンテンツをお届けして参りたいと思いますので、ぜひ、本年もよろしくお願いいたします。

さて、2022年最初の記事は、とんとんさんによるイタリアサッカー分析シリーズ第3弾、エラス・ヴェローナです!
(とんとんさんの他の記事は、こちらのマガジンからお読みいただけます。)

明日1月6日に対スペツィア戦も控えているエラス・ヴェローナの魅力に迫りたいと思います!

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ヴェローナは開幕3連敗ののち、新たにイゴール・トゥドール監督を招聘した。彼が指揮官に就いてからは17節終了までの14試合で6勝5分け3敗と好調を維持している。かつてはユベントスにも在籍した43歳クロアチア人指揮官の見せるカルチョは時に泥臭く、時に流麗な、観る者を魅了するものとなっている。

マンツーマンディフェンスがトレードマークの彼らはリスク管理、流動性、そして守備時の「罠」にも特徴を持つ。

今回はそんなセリエAを盛り上げるプロビンチャ、エラス・ヴェローナの戦術を分析する。

基本布陣

ヴェローナのHVには出足の早さと攻撃時に前進する能力が求められる。起用されるカザーレ、ダヴィドヴィチ、チェッケリーニはその能力を持ち合わせている。

中央CBには配球のできるギュンターが入る。右WBには守備においてチーム唯一の役割を与えられているファラオーニ、左WBにキックの種類が豊富でカットインのできる右利きのラゾビッチ。CHにはフィジカルを活かしたマンツーマン守備に加え的確なパス捌きと周りを使ったプレーをこなせるマンチェスター・シティの下部組織出身のイリッチ、アジリティの高いタメズ、アウトサイドを駆使したパス捌きで魅せる35歳ミゲウ・ヴェローゾ、シャドーもこなせる技量を持つベッサ等が入る。

シャドーは長身でシンプルなパス捌きを得意とするバラク、スピードとテクニックを兼ね備えたカプラーリ、高いシュート精度と抜け出しが持ち味のストライカー・シメオネが起用される。

チームのスタイル

ヴェローナの特徴は何といってもマンツーマンでのディフェンスだ。前線の3枚は敵のビルドアップの型に応じて柔軟にポジションを移してシステムを噛み合わせる。強豪相手でも積極的にペナルティエリア手前からプレッシングをかけ、ロングボールを蹴らせていく。
攻撃においては2CHが低い位置で組み立てに関与し、スペースができればHVが前進することで相手守備陣のファーストラインを越え、ボールを前方に運んでいく。「リスク管理」と「流動性」がキーワードだ。
前線3枚は近い距離を維持し、同じレーンの手前と奥に入り込むことで敵に迷いを生み出していく。

マンツーマンディフェンス

ヴェローナはマンツーマンで敵のビルドアップを阻害する傾向が強い。強豪が相手であってもその方針は変わらず、ナポリやローマの4-2-3-1、ユベントスの5-3-2、ラツィオの4-3-3、アタランタの3-4-2-1等に対しても強気で圧力をかけていった。

敵の動きに食らいつき泥臭くボールを奪取する面を持つ彼等だが敵のシステムに合わせてポジションを調整し、状況に応じてゾーンディフェンスに切り替えるスマートさと柔軟性も兼ね備えている。
敵に合わせてポジションを修正するのはバラクや2CHといった中央の選手が担う役割となっている。相手のCHが降りる等のポジションチェンジがあった場合、基本的には受け渡しをせずついていくことが決まり事だ。
ポジションの調整後、バラクやカプラーリといった前線の選手は敵にベッタリとつくのではなく、マークしている選手にボールが渡った際にプレスをかけられる位置を維持しつつ、中央のパスコースを遮断するようなポジションをとる。中央のゾーンへのパスを遮断する意識を持ち合わせており、相手を誘導することが可能となっているのだ。例えばバラクは、敵がヴェローナ左サイドから攻めてきた場合はマークの選手を外して中央ゾーンのカバーに入れるポジションをとる。
つまりヴェローナの守備はマンマークの意識が強いもののゾーンの意識も持ち合わせており、強みは柔軟なポジション調整能力にあるといえる。

WBによる守備の「罠」

中央の選手がメインとなりポジション調整を行う中でWB、特に右のファラオーニによる守備の「罠」がボール奪取における強力な武器となっている。

ヴェローナはポジション調整を行うことでマンマーク気味に相手のビルドアップを阻害して前線でのボール奪取を試み、前線での奪取が上手くいかなければロングボールを蹴らせて回収する。ファラオーニが存在感を発揮するのはまさにそのロングボールの回収だ。彼は基本的に敵SBのマークを請け負っているが、選手の配置やパスの配球から予測し、早めにSBのマークを離れて3バックの前のスペースのプロテクトに入る。敵のロングボールの狙い所となるスペースへいち早くボールの回収に向かい攻撃の芽を摘む彼の働きは凄まじく、幾度となく敵のロングボールを回収してきた。

マンツーマンの中で数的優位作りとスペースのケアを行うことで、空いているように見えるスペースへボールを誘い込んで回収するこの「罠」は、30歳のベテランの持つ判断力と予測能力のなせる業である。WBがCBの前方を守るというのも新鮮である。

守備面の弱み

そんな彼らの守備面の弱みは、3バックにゾーンとカバーの意識が希薄であるという点だ。チェッケリーニやカザーレは出足の鋭さや攻撃的な能力こそ持ち合わせるものの、DFラインでカバーリングを行うプレーは得意としていない。一人が前に出ていけば、空いたスペースは埋められることがなく、そのまま敵に付け込まれる隙となる。マンツーマン気味に守る中でこれは割り切るべき部分であるかもしれないが、前線の選手はある程度カバーの意識を持って守っており、WBも同様に逆サイドからの展開となれば絞って守備につく。強力なアタッカーと1vs1で対峙する中で難しい面もあるものの予測と判断の質を上げ、DFラインにも最低限のゾーンとカバーの意識が持たれるのであれば失点を減らすことが可能となるだろう。==================================

とんとんさん、ありがとうございました!

後編もぜひ、続けてお楽しみください!


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