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王者レアル・マドリードCL戦記~戦術を打ち負かす自由。圧倒的な個とバランス~中編〜

こんばんは!

さて、今回も前編に続けて、とんとんさんによるレアル・マドリード分析をお送りします。それでは、早速お楽しみください!

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◆「自由」を支えるポジショニング・バランス能力

技術の高さを礎としているものの、決してバラバラなわけではない。そこが、単に個の能力が高いだけのチームとの大きな差だ。
例えば、4-3-3のチームで両IHがビルドアップ時に下がればチームとしてのバランスは崩れやすくなる。それでもレアル・マドリードのバランスが保たれるのは

  1. カゼミロの位置

  2. 右サイドを中心としたバランス能力

  3. ゆったりとした全体の押し上げ、少数での攻撃完結力

といった要因が挙げられる。
まず、アンカーのカゼミロがポジションを上げることで4-2-3-1のような形でバランスをとることが可能だ。

カゼミロのポジショニングはレアル・マドリードの「自由」および「バランス力」の象徴だ。彼はモドリッチやクロースほどの技術は無くターンして展開する力も遠く及ばないものの、シンプルなワンタッチパスで「3人目」として新たなパスコースを生み出すことができる。

3人目としての彼の動きは消されたパスコースを復活させる役割を持ち、モドリッチやクロースの助けとなっている。

このモドリッチやカゼミロの「3人目」を意識した配球はリヴァプール戦でも見られた。前半戦ベンゼマの幻のゴールの手前のシーンだ。低い位置でボールを持ったクロースに対し、サラーが縦のパスコースを消している状態だ。サラーとマネによってパスコースを制限され、普通であればGKへのバックパスしか残されていない状態であるが、アラバがポジションを少しあげることで、僅かな隙間を技術あるクロースが非常に短いパスをつけてプレッシングを回避したのだ。
この短いパスはリヴァプールのプレッシングを掻い潜るうえで非常に有用だ。自分から前線に送り込むパスでなく、「味方に楔を打たせるためのパス」である。このパスによりリヴァプールのプレッシングを掻い潜ったレアル・マドリードは、クロースと入れ替わったアラバによる楔からの展開を経て、背後を狙うベンゼマへパスを送り込み一気にチャンスに持ち込むことができた。この時はカゼミロでなくアラバであったが、この流れを決まり事というよりも選手一人ひとりの意識として持ち合わせているからこそ、縦への推進力を維持したまま柔軟で自由に戦うことができるのだ。
ただし、カゼミロの役割ははっきりとしているものの、位置取り自体は明確なものとはなっていない部分もある。特にリヴァプール戦等は被カウンターのリスクも鑑みて上がりをやや控えており、モドリッチと被ってしまうこともあった。

◆レアル・マドリードのバランスをとるムーブ

カゼミロの役割が曖昧であったとしてもバランスが崩れないのは、バランスを取れる選手がカゼミロ以外にもいるからだ。例えばベンゼマは孤立しないように下がり気味にポジションをとってボールを引き出すこともできる。右WGのバルベルデは守備時・攻撃時共に絞った位置をとりIH不在のCF周りでプレーが可能、カルバハルも大外高い位置をとるだけでなく通常IHの位置するハーフスペース、さらには右SBながらCFの背後に抜け出すこともできる。左SBメンディはハーフスペースに斜めに入り込み、ヴィニシウスのサポートをこなすことができる。こういった攻撃において全体のバランスを見ながらポジションを移動することのできる選手が「自由」を支えているのだ。チームとしての決まり事というよりも選手個々人の高いバランス力と判断力だ。またカルバハルは内側へのドリブルやパスを得意としており、内側の選手とのリンクを切ることなく多彩な攻撃の選択肢をチームに提供している。

極めつけは攻撃のスピード感だ。早い段階でヴィニシウスもしくはベンゼマにボールが渡れば、2人だけで攻撃を完結することができる。陣形が歪でも2人の攻撃の合間に修正することができる。他のメンバーが無理に上がらなければカウンターのリスクを抑えることにつながる。中盤の運動量や強度の勝負になりかねないオープンな展開を避けることにもつながる。

2人にボールが入らなければ、後方でボールを回しながらゆったりと全体を押し上げる。相手を押しこみつつ陣形を調整することで歪を無くし、得意な形での連携もしくは個人能力の発揮につなげるのだ。
各選手の強みを活かすためにバランスをとる(ポジションを移動する)ことができる。これがレアル・マドリードの強さの秘訣だ。クロースやモドリッチが、ベースとなるIHのポジションから移動するというのも停滞感が生まれないポイントとなっている。ポジション移動のない攻撃には停滞感が生まれやすいからだ。

◆ヴィニシウスの決勝ゴール

ゴール1
ゴール2

得点シーンは粘り強いビルドアップから生まれた。ミリトンがディアスのプレスをいなしカルバハルに送ると、彼は得意の内側へのドリブルでチアゴをいなす。カゼミロがワンタッチパサーとしてモドリッチへ送り込むと、楔の意識の強いモドリッチは前進したカルバハルへ。この段階でSBロバートソンが釣り出され、DFラインは3枚となる。カルバハルからカゼミロ、ターンをせずにバルベルデへとつなぎ、カルバハルのオーバーラップでファン・ダイクの注意を惹きつつクロスへの注意を逸らし、ゴール前に作り出した2vs2の状況からヴィニシウスが押し込んだ。
モドリッチ、カゼミロ、カルバハルといったプレイヤーの特徴が、3人目の意識が存分に表れたシーンとなった。

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とんとんさん、ありがとうございました!

続けて後編もぜひ、お楽しみください。

それではまた!

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