FL-UX_Realtime Analytics by. RUN.EDGE Limited.
【東京大学ア式蹴球部 連載 vol.5】プレー分析を支える「データ」とその活用方法
見出し画像

【東京大学ア式蹴球部 連載 vol.5】プレー分析を支える「データ」とその活用方法

FL-UX_Realtime Analytics by. RUN.EDGE Limited.

こんにちは!

4月の下旬に差し掛かりました。新入生、新社会人の方は少しづつペースがつかめてきた頃でしょうか。連休まであと少し、頑張りましょう!

さて、本日は、東京大学ア式蹴球部さんの連載第5弾です。
新入部員も募集中とのことですので、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。
(連載の過去記事はこちらからまとめてご覧いただけます。)

今回は、プレー分析を支える「データ」に着目していただいています。

それでは、東大ア式さん、お願いいたします!

=================================

これまでの連載では、スカウティング・リアルタイム分析・自チーム分析と、東大ア式テクニカルがメインで行う活動についてご紹介してきました。4回目の今回は、これらの分析を支える「データ」について取り上げます。

一口にデータといっても、サッカーにおいてはどのようなものがあるでしょうか。数値データという意味で捉えることにすると、スタッツとしてサッカー中継でよく見かけるシュート数、ボール支配率、セットプレー数から、xG, PPDAなど計算を経て算出される指標まで幅広く存在します。これらはプレーを基にしたイベントデータですが、近年ではGPSデバイスやカメラ技術で選手やボールの動きを追尾して得られるトラッキングデータも取得されています。走行距離や平均ポジションがその例です。

では、これらのデータがどんな役割を果たすかについて考えます。色々な観点があると思いますが、1つには「サッカーをある一面からより正確に、客観的に把握できる」ことが挙げられそうです。例えば、あるチームの試合で「シュート数26本・ボール支配率66%・クロス34本」というデータが取得されたとしましょう。すると、「そのチームは相手よりも長い時間ボールを保持し、クロスを多数上げ、ゴールに何度も迫った」という事実を、客観性をもって理解できます。漠然とした印象ではなく、定量的に捉えられるのです。これによって他の試合との比較も可能になるでしょう。

一方で、この数字はサッカーをある一面でしか捉えていないことに注意しなければなりません。「ある一面」というのはある定義に当てはまる事象ということです。先ほどの例でいえば、攻撃の様子が具体的に分かったとしても、実際にゴールを奪えたか、守備をきちんとできていたかは全く分からないのです。ましてや多数の要因が複雑に絡み合うサッカーにおいて、上記のデータから試合全体の内容を理解しようとすることは極めて困難でしょう。逆に言えば、そのような複雑な状況において、ある特定の範囲に注目するからこそ理解を深められるのではないでしょうか。

また、データから試合を理解するためには、サッカーに関する事前知識と、それによる解釈が必要となります。例として、「シュートの決定率(得点/シュート数) 3.8%(チーム1):100%(チーム2)」というデータがあったとき、どのように考えるでしょうか。サッカーに馴染みのある読者の方でしたら、「チーム1は20本以上シュートを打ったけど1本しか入らなかったのかな」「チーム2は少ないチャンスをものにしたんだな」「ということはスコアは1-1で、チーム2が格上のチーム1に対して引き分けに持ち込んだのかな」などと想像するのではないでしょうか。簡単なことだと思われるかもしれませんが、この推論をするには、「1試合においてシュート本数は多くて2,30本」「決定率100%というのは普通ありえない」といったサッカーについての知識、あるいはちょっとした計算が必要だと思われます。この例はかなり大げさですが、サッカーに限らず、複雑なデータを扱うときや、複数のデータが存在するときには周辺知識やデータの定義を総動員しなければ適切な理解はできません。その数字がどのような意味合いを持つかは、あくまでもサッカーへの理解があるからこそ分かるはずなのです。

ここまで、データを用いる上で前提条件となる事柄について述べました。ある意味当たり前のことかもしれませんが、データを活用する上では忘れてはならないことだと考えます。ここからは、データをどのように活用するかについてみていきます。

数値データの活用の仕方についても様々なことが考えられます。冒頭に述べたような、試合分析、パフォーマンス分析のための手段として活用するのが1つでしょう。日本や海外のプロリーグでは全てのイベントデータやトラッキングデータが取得できる環境が整っています。これらのデータを網羅的に解析すれば、強いチームの特徴が分かったり、プレーの改善のヒントとなる事柄が分かったりするかもしれません。「あのチームはなぜずっとボールを保持できるのか」といった仮説を実証するために、あるいは大量のデータから何か新しい知見を得ようとするためにデータを活用することは学術研究に近い営みといえます。実際に、サッカーに関する研究は様々なデータを駆使して面白い事実をたくさん実証しています。また近年ではサッカーに関するデータ分析記事も多く公開され、興味深い議論がなされています。こういった分析は、サッカーというゲームの構造を解き明かす上で極めて重要であり、チームの大元のスタイルを考える、国単位など大きな枠組みでの強化方針を定めるといった場面では有用だと思われます。

一方で、1つのサッカーチームに属する私たちテクニカルスタッフは、単に試合分析をするだけではなく、チームの勝利に貢献することが一番の命題です。となれば、データの活用も、(ある程度短期的な)「勝利につながるパフォーマンスの向上」につながるものでなければなりません。また、大学サッカーを含むサッカーの多くの現場ではデータ取得の環境が整っておらず、大量のデータを取得すること、あるいはそのデータを扱うコストがかけられないという現状もあります。これらを鑑みれば、「自らのチームのパフォーマンスを測る指標」としていくつかのデータに絞って取得し、プレー改善に活かしていくことがデータ活用の1つの考え方でしょう。これを実現するには、チームが目指すプレー、ゲームモデルに沿ったデータを取得することが必要でしょう。ここで、このような観点に基づいた、データ活用事例を少しご紹介したいと思います。東大ア式蹴球部では、外部サービスやGPSデバイスを用いたデータ取得も行っていますが、ここでは自分たちで集計して運用しているデータについて取り上げます。

まずはパッキングレートについてです。簡単に説明すれば、パスやドリブルで相手選手を何人通過できたかを表した指標です。ボール支配率やパス本数だけでは分からない、チームとしていかに効果的に前進できたかを表す数値といえます。ここでは具体的な算出方法について詳しくは説明しませんが、記事や論文なども多く公開されていますので興味のある方は探してみてください。

例えば、ある試合についてパッキングレートを取得し、ある選手だけが受け手として低いスコアを示しているとします。その選手の立ち位置が問題なのであれば、当該選手に指摘し、改善を促します。そしてデータを継続的に追うことで改善度合いが可視化されます。あるいは、チームとしてその選手を使いたいのに、効果的に使えていないと判断すれば、コーチ陣がシステムの変更を検討するかもしれません。

また、FL-UXのタグ付けと併用することでより効果的な活用が可能となります。「ビルドアップ(自陣での攻撃)」「崩し(敵陣での攻撃)」といったタグをつけておき、パッキングレートの時間記録と組み合わせれば、ビルドアップにおけるパッキングレート、崩しにおけるパッキングレートが算出されます。仮に、ある試合のパッキングレートの総計が前の試合よりも大幅に低かったとしましょう。ビルドアップ時の数値が低いのか、崩し時の数値が低いのかで対応は変わってくるはずです。

続いて、FL-UXを用いてデータ集計をした例をご紹介します。以下の写真は、敵陣でボールを奪われた位置やその後の対応がどの程度できているかを知りたいと考え、ボールを奪われた位置と5秒以内に奪い返した回数を記録したものです。このデータはサンプルですが、「ピッチ中央でのロストがある」「意識づけによって、5秒以内に奪い返せた数が前回より増えた」などといった分析に活用することが可能となります。ご覧の通り、FL-UXには時間・選手・場所を集計できる機能があり、思いつけばすぐにデータを集計できるようになっているので非常に便利です。

FL-UXで集計したデータを確認できる画面(サンプル)

ここまで具体例をご紹介しましたが、私たちがデータを上手く使いこなせているかというと、まだまだ改善の余地があると考えています。冒頭の話に通じますが、データはそのものだけでは意味を持たないため、解釈が必要となります。データから物事を読み取る力は日々ピッチ上の現象とデータを行き来しなければ身につかず、日々研鑽しアウトプットを増やしていかなければなりません。また、データの取捨選択も重要な問題です。データを用いたコミュニケーションは説得力を増し、客観性を担保すると思われがちですが、自説を補強するデータにしか目を向けていないといったことはよく起こりうると思われます。そういった使い方も必ずしも悪いとはいえませんが、データを有効活用できているとは言えないでしょう。さらに、複雑な指標ほど数字の扱いに注意が必要です。その数値の大小がどの程度説明力をもつかについて慎重にならなければなりません。

今回の連載ではデータの扱いについて取り上げました。サッカーにおけるデータの活用は、今でこそ盛んに叫ばれるようになりましたが、実際のピッチレベルで活用するのはそう簡単ではありません。私たちも日々議論しながら活用を進めていきたいと考えています。ここまでお読みいただきありがとうございました。

現在、東大ア式蹴球部では新入生を募集しています。サッカーの分析やスポーツにおけるデータ分析に興味のある方は、テクニカルスタッフとして活動してみませんか?4月27日20時より説明会を予定しておりますので、お気軽にお越しください(詳細はHPやtwitter等でご確認ください)。この春の新入生に限らず、2,3,4年生も大歓迎です!

=================================

ありがとうございました!

サッカー、そしてスポーツのデータ分析にご興味をお持ちの方は是非、説明会に参加してみてくださいね。

東大ア式蹴球部さんWEBサイト

東大ア式蹴球部さんTwitter


また、記事の中でも取り上げていただきました、東大ア式蹴球部さんも活用されているプレー分析ツールFL-UX(フラックス)の詳細は下記からチェックしていただけます。30日間無料トライアルも提供中ですので、この機会にぜひ試してみてください!

それではまた!

みんなにも読んでほしいですか?

オススメした記事はフォロワーのタイムラインに表示されます!
FL-UX_Realtime Analytics by. RUN.EDGE Limited.
サッカー、バスケなどのスポーツの戦術分析を中心に発信します。 映像分析ツールFL-UX(フラックス)の製品情報は下記サイトから (サッカー)http://fl-ux.run-edge.com (バスケ)https://basketball.fl-ux.run-edge.com/