
【サッカーアナリスト杉崎健さん連載 vol.1】ラツィオファンの中学生がプロクラブを優勝に導くサッカーアナリストになるまで
こんにちは。
今日は嬉しいお知らせがあります!
このたび、弊社の映像分析ツールFL-UXをご自身のオンラインサロンでも使ってくださっているプロアナリストの杉崎健さんに、月一でマガジンを更新いただくことになりました!
サッカーアナリストというお仕事について、ご自身のキャリアについて、また実際のプレー分析について、等、プロのアナリストを目指されている方はもちろん、プロがサッカーをどう見ているのか知りたいという方にもお楽しみいただけるようなコンテンツをお送りしていきたいと思います。よろしければぜひ、マガジンのフォローをお願いいたします!
初回は、杉崎さんがプロのアナリストとしてご活躍するまでのキャリアについて書いていただきました。学生時代のご経験や、いわゆる「脱サラ」をしてプロアナリストになった経緯など、なかなかお伺いできない貴重なエピソードが盛りだくさんです。ぜひお楽しみください。
(ここから杉崎さんの記事です。)
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当ページへのアクセスありがとうございます。今回から定期的に投稿させていただくことになったサッカーアナリストの杉崎と申します。
アナリストに関わる事項やFL-UXをはじめとする映像分析の事項等について、様々な角度からお届けします。よろしくお願いします。
初回の今回は、私のキャリアのお話をさせていただきます。サッカーアナリストという職業自体がメジャーではなく、この中身の話もしたいとは思いますが、まずはどのようなキャリアを積んでプロクラブに入ったのかからスタートできればと思います。
私はプレー経験としては幼稚園から高校まで。実績としてプロ選手どころか、高校でレギュラーすら取れませんでした。ただ、見る方は中学生時代から戦術的に見るようになっていました。
単に上手い下手ではなく、誰が動くことでどこが空くのか、1つのシーンがなぜそうなったのかまで見るように「独学」で研究していました。
まだその当時、Jリーグでは分析官が揃ってなく、その名のスタッフはいませんでした。監督やコーチが分析等を兼任していたと思いますし、映像も今ほど充実していなかったと思います。そんな中、自分がもしJリーグのクラブや日本代表スタッフになるとすれば、この分野で活躍したいとその当時は漠然と思っていたことを覚えています。ただ、その思いが強烈だったかというとそうでもありませんでした。そういうポストがなかったですからね。
日本の試合も見ていましたが、wowowで放送されていたイタリアのセリエAを見たりなど海外の試合も対象にしていました。
ラツィオのファンでしたが、ラツィオの試合を見るときは戦術というより、チャンスシーンになると立ち上がって興奮することもありましたね。ましてやローマダービーともなれば、現地に行った気で応援してました(笑)。
話を戻しますが、高校に入ると、自分もプレーしていたこともありますが、よりサッカーの戦術面における見方は幅が広がりました。それは修徳高校というスポーツに強い学校だったことも影響します。
どの時間帯だったらどうすべきかのような細かな戦術の話も部活内で頻繁に話し合われたため、見るときにもそれを適用するようになりました。
このあたりから、世の中的にはインターネットが爆発的に普及し始めており、学校でもパソコンの授業が普通に行われていました。私は理系でしたし、この分野にも興味がありました。幼い頃からそろばんを習っていたことから数字の扱いや計算も得意で、パソコン含め機械系に苦手意識がなかったのです。
高校3年の時、もはやプロ選手どころかレギュラーでもなかったので、こっちの道を考え始めます。
今の学生も、もしかしたら色々将来のことを考えているでしょう。自分にとって当時はインターネットがこれからの時代だと思っていましたが、これからはもしかしたらメタバースの時代かもしれない。誰も分かりませんし適当なことは言えないのですが、ご自身で未来予測することをオススメします。
様々な道がある中で、自分の得意分野や好きな分野を極めつつも、色々な可能性を考えられればいいのではないかなと感じます。
私はその後、日本大学に入ってからは、主にITや数学を学んでいました。プログラミングやアルゴリズムが専門ですが、微分積分や幾何学とかも取り入れてましたね。サッカーにおいてこの分野が連動するとはあまりピンときていませんでしたし、システムエンジニア等の職種への道もちらつき始めました。
そんな中、大学2年の終わり、先輩に進められたのがデータスタジアム株式会社のアルバイトでした。そういう会社があることも知らなかったですし、サッカー✕データという概念もしっくりこなかった中でしたが、興味半分で申し込んだのが転機でしたね。
業務としては、サッカーの試合を映像で見ながら、各プレーの詳細を専用のソフトウェアに入力しデータ化することがメインでした。ただ入力するだけでも1試合10時間とかかかりますし、かなり根気のいる仕事でしたが、好きなサッカー+得意な分野だったので自分にとっては合っていたのでしょう。
その入力スタッフとして約5年くらい務めた後、社員として働かせていただくことになりました。入力からは離れ、今度は生成されるデータを「加工」する側に回り、それを現場に提供するサポート役が主な役割。と同時に、ソフトウェアの販促を行う営業部門としても各クラブの担当者とコミュニケーションを取るようになります。
今ではJリーグ公式サイト含め各サイトで様々なデータが掲載されるようになりましたが、それを眺めている方々も感じていると思います。「これをどう使うか」ですね。データだけでは何も分からないことを理解するでしょうし、そのチームや選手のことを知らないと間違った解釈になってしまうことも痛感するでしょう。
その「専門会社」で働いていたときも同じでした。データありきではなく、いかに主観を補完するか。当然ながらそのチームの試合も「サッカー的に」見ておかないといけない。アルバイトの経験のみならず、これまでの「見方」を生かせる場でもありました。これをベースにJリーグの各クラブ担当者らに提案・提供していたことは今でも役立っています。
アナリストを目指す人は必ず通らないといけない門でもありません。今やITが発達し、ご自身で映像を取得してデータ化し、戦術的に分析している人も増えましたし、専門会社に行かなければクラブに入れないという時代でもありません。ただ自分の場合は、そういうルートだったということです。
2013年の終わり頃、当時ヴィッセル神戸のサポートしていましたが、監督の安達氏(現ラインメール青森監督)より2014年のテクニカルスタッフとしての勧誘を受けました。
少し悩みましたが、自分の小さい頃のアバウトながらに描いていた夢に近づけるのではないかということと、これまで培ってきたスキル等を生かす時なのではとも感じ、さらにはプロ選手に対して自分はどこまでできるのかチャレンジしたい気持ちがあり、いわゆる脱サラをしてプロ契約を結ぶことを決意しました。これがプロに入るまでの簡単なあらすじです。
ヴィッセル神戸では、主に対戦相手を分析する役割と、データ分析サポート、IT系のサポートも行っていました。次週の相手を分析するために毎週その試合を見に現地まで飛び、スタジアムで観戦しながら分析するのです。これを先乗りスカウティングと言いますが、現在では映像(共有)の発達に伴い行っているクラブは少なくなりましたが、当時はこれがメインでした。
そして、戻ってきてすぐに分析レポートを作って監督やコーチ陣に展開し、次の試合までの対策を練るような形です。レポートとしてもそうですし、映像編集、データのまとめ、プレゼンの準備等も含まれます。これを毎節行い、チームが1試合1試合勝てるようなサポートをするのです。
この経験を積みつつ、人の縁もあってそこからベガルタ仙台、横浜F・マリノスへと移るわけですが、各クラブで若干役割が変わるなど様々な経験をさせていただきました。
2019年にはJ1リーグの優勝も経験することができましたし、自分が行ってきた内容が間違っていなかったのかなと思えましたし、何より小さい頃の漠然とした夢が叶った瞬間でもありました。このあたりの話はまた機会あれば。
初回の投稿として、まずは私自身のキャリアを簡単にご紹介する回とさせていただきました。これからアナリストを目指す人が増えてくると予想していますし、実際に今、それをサポートするためにオンラインサロンを運営していますが、実感もしています。
そんな方々に向けてタメになることをどれだけお伝えできるか分かりませんが、定期更新としてお届けしていこうと思います。よろしくお願いします。
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杉崎さん、ありがとうございました!
これから毎月第4月曜日に、このような形で杉崎さんの連載を定期発信してきますので、お楽しみに。
また、今月11月24日(水)19:00〜、杉崎さんが講師を務めるオンラインセミナー「Jリーグ制覇クラブの元分析官が教えるサッカーの見方と映像分析」が開催されます。初心者の方にもわかりやすいプレー分析の基礎についての講義、実際の映像を使っての分析の実演などを予定しております。ぜひご参加ください!(お申し込みは下記のリンクからお願いいたします。)
https://semiar-sugizakiken-november.peatix.com/view
それではまた!
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